壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2008-03-31 (Mon)

メモ

温暖化で米が生育不良。今年もなるんだろうか。

日本の太陽電池、首位から転落。だから日本のアドバンテージなぞ殆ど残ってないと言ったんだが。

この世知辛い世の中で、投資せずに利益だけ得よう、という考えは通用しないだろう。そんな考えのままでFITを批判しても、「何を甘えてるんですか」と一蹴されるのがオチだろう。

九州電力、新エネの増強計画。10年後までに3GW追加。ここで導入技術やノウハウを蓄積して、他の国にも売れるぐらいにしたいところやね。あと九州は密かに(?)各種薄膜太陽電池の工場も多かったりする。昭和シェルソーラー(宮崎)、ホンダソルテック(熊本)、三菱重工(長崎)、富士電機システムズ(熊本)など

シャープの堺工場の薄膜太陽電池は2010年に480MWp/yr。それなりに大きな規模なんだが、これだけではまだまだ足りないな。

昨年シャープを抜いたドイツのQ-Cellsは、今年はさらに200MWp以上増やして595〜620MWpを生産し、2010年には1.5GWp=1500MWpを超える見込みだ。

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というか、最終的には世界の年間生産量は2030年で100GWp、2050年で1TWp (=1000GWp =1000000MWp) にする必要があると言われている(もちろん、それに見合うだけの資源もある)わけで、この程度の拡張は全く序の口だ。この程度で満足しているのだとしたら、日本の今の政策は”ケツの穴が小さすぎる”と思う。

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それでいて、「帳尻合わせ」の温暖化対策プランを立てたりしてアタフタしてるのが、今の日本だったりする。有効な技術や手法を持ちながら、他人の足を引っ張る輩が跳梁跋扈し、それらの活用を阻害している。ニセ科学を用いて誤った内容を流布したり、詭弁や想像に基づく非合理的な「批判」をしつこく繰り返す人も見かける。

既得権益なのか先入観なのか、その動機は様々かもしれない。でも総じて言えば、そうした行動は国益を損ない、最終的には自分にも跳ね返るはずだ。日本国民で無ければ別かも知れないけど、それでも温暖化の影響からは逃げられまい。

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屁理屈をつけて先送りにしても、温暖化はお構いなしに進行し、あとでその分のツケが回ってくる。そして先送りにすればするほど、対策に伴う社会の変化は急激になり、より多くの出費と苦痛を伴うはずだ。それも若い世代ほど、負担は大きくなる。

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俺はまだ家庭を持っていない。だが俺の知る限りの知識に照らせば、既に子供や孫を持っている人達が温暖化対策を骨抜きにしようとしたり、化石燃料の税金をむやみやたらに下げようとするのは、非合理的だと思う。

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俺は温暖化の専門家という訳でないし、持っている知識も限られる。だがせめて、既に家庭を持っている人は(いや、そうでない人も)、なるべく「学術的に正確な」知識を得るように心がけて欲しい。最終的には、査読のある国際的な学術誌に投稿され、他の多くの学者による検証を経た、出所がはっきりした情報を頼って欲しい。今の世の中の科学的な技術や知識は、そうして積み重ねられて来たのだから。

FITのFAQ(2)

ここで思い出したので、これ の続きを追記しておこう。

「FIT(フィードインタリフ)を導入したら、凄いお金がかかるじゃないですか。RPSのままの方が金がかからなくていいじゃないですか。」

導入促進にかける金額と、促進する方式とをごっちゃにしている。

「FITだから」お金が余計に要る訳では無い。現行のRPS法では目標そのものが低すぎてお金を「かけていない」だけだ(そして効果も不十分で、導入促進どころか、市場を縮小させてしまっている)。同じ金額をかけるならば、FITの方が無駄を減らしやすく、その分、より多くの効果を得やすい。

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FITを導入したドイツなどでは、確かに、巨額のお金が再生可能エネルギーに投資されている。その費用は一般家庭1軒当たり月数百円程度の出費によって賄われている。

では、その目的は何だろうか。

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もちろん、第一の目的は

(A)火力発電に頼る量を減らす=CO2の排出量を減らす=地球温暖化対策の一環にする

だ。この問題が無ければ、化石燃料に対して価格競争力がつくまで、のんびりゆっくり、技術が熟成するのを待っていれば良かったかも知れない。

また、

(B)エネルギーや関連設備の自給率を高める

(C)関連産業の国際競争力をつけて、輸出産業に育てる

(D)化石燃料に依存した既存産業からの資本や人材の移行を促す

などの目的もある。他にもいろいろ考えられるが、ここでは割愛。

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まず、(A)〜(D)のような目的に対して、月幾らまで出資して良いかどうかを決めねばならない。温暖化対策の費用として、月数百円は高すぎるだろうか?

もちろん、私はそうは思っていない。だが今の日本で、温暖化がそれほどまでに切羽詰まった問題だということが十分認識されていない、という指摘には同意する(それが日本にとっての最大のアキレス腱になっていると思う)。

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また、温暖化対策を進める上で、再生可能エネルギーの利用は避けられないとされている。特に、途上国にも普及させなければならないことから考えると、時間的な余裕ももう残っていない。(A)の目的からは、再生可能エネルギーを急いで普及させる必要性があるし、(B)(C)(D)の目的から考えても望ましい。

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その一方、こういう目的を達成する様々な手法の中では、実績から言ってFITが最も優れていることが既に分かっている。現行のRPS法(quota制)など他の手法でもそれなりの効果はあるが、FITに比べると無駄が出やすい。つまり、再生可能エネルギーへの出費の必要性を認めるならば、FITは最も費用対効果が高いと考えられる。(さらに言えば、それにかける額は高くも低くもできる。ドイツや他の国々の高い補助額は、彼ら自身が「それだけ払うと決めた=それだけの必要性を認めた」からそうなっているのである。)

逆に、現行のRPS法でFITと同じ効果を得ようと思ったら、FITよりも余計に金と手間がかかると考えられる。

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以上より、現行のRPSかFITかを論じている時に、「費用がかかりすぎるから」という理屈でFITを批判するのはお門違いである。それは対策手法としてのFITを批判しているのではなく、温暖化抑制などの目的に金をかけること自体を批判していることになる。2つをごちゃ混ぜにしてはいけない。

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温暖化対策なんかに余計な金をかけたくない−確かに、「金をかけずに温暖化を十分に抑え込めるならば」それは自然な考えかも知れない。でも、「金をかけなければ温暖化は防げない」状況では、それは無理な相談だ。

また、「温暖化対策に金をかけたくない」という考えは、自然に出てくる考えかもしれないが、(B)や(C)や(D)の目的まで考えると、必ずしも合理的ではない。適切な額を投資すれば、(B)(C)(D)などの面でも利益の増大が期待できるからだ。

クギ

本来、(C)の目的は輸出産業に対する直接の補助金であり、国際市場においては比較的「悪いこと」に分類される。それが許されているのは、(A)の温暖化抑制がそれだけ緊急の課題だからだ。

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もちろん、短期的には設備の値上がりなどの悪影響もあり得る。(B)(C)の目的だけを重視して度が過ぎる補助を行えば批判の対象ともなり得るし、短期的な出費や悪影響だけを論じる批判も散見される。しかし長期的にみれば、FITは助成策としては最も費用対効果が高いとされる一方、他の手法では導入促進効果がそもそも不足している。現実に温暖化対策がろくに進んでいない現状では、FITに対する批判は、自国での対策が進んでいないことに対する言い訳、と一蹴されるのがオチだ。

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きっつい言い方を承知で書くならば、今の日本に、欧州におけるFIT導入を批判する資格は無いと思う。万が一、それを洞爺湖あたりでホスト国たる日本の高官が口にしたりしたら、はっきり言って歴史に残るような恥だと思う。

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つか、「理詰めのドイツ人」をナメちゃいけねぇ。


Written by "バカ殿"さくらぃ
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