壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2008-04-09 (Wed)

メモ

ニューヨーク市、太陽光発電設備を増設へ(solarbuzz)。適用範囲は限定的だが、発電した電力を20年間に亘って買い上げる−という手法は興味深いな。おそらく、これをそのまま拡充すればフィードインタリフ制になる。NYCのプレスリリース

送電網をより高効率な"SmartGrid"へ変革させる欧米(REW)。2003〜2030年に全世界で16兆ドルが投資されるだろうとIEA。火力発電減らすには必須だろう。

春一番で風車が2機破損(読売)。海外製みたいだけど、ちゃんと台風とか想定した機種なのかしらん。通常は洪水などの災害対策同様、50年に一度レベルの風速まで考慮すると聞いているんだが、55m/sまでというのは充分な数値なんかな?

そもそも現行のJISって、台風なんか想定してない、欧州の規格をコピーしたものなんだそうだ。地震対策よりも、日本の風況に合わせた設計基準を策定する方が先じゃないのかな。そうすりゃ、インドとかアジア圏にも売り込みやすそうだ。

参考: 風力エネルギーの基礎(牛山 泉)

・よく拝見しているkynthmさんのブログ。対応お疲れ様です。

この方のページから辿れる東伊豆町風力発電所のページが至れり尽くせりで素晴らしい。つか建設過程萌え燃え。

藻類からバイオマス燃料を得る計画が世界各地で進行中。ジェット燃料にも向くのか。

FITのFAQ(3)

フィードインタリフの話の続き。

「このまま放っておいても再生可能エネルギーは普及する、無理に税金を投入しなくてもいいじゃないか」

…前半は同意するが、後半は根拠が不十分だ。放っておいた場合、普及が間に合わないリスクがあるからだ。

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まず、この質問(というか批判)には2つ、大きな勘違いが含まれている。

・FITに投入される費用の大部分は、いわゆる(国庫を経由する)税金ではない。電気などのエネルギーの利用者から、料金に上乗せする形で電力会社などが徴収する。税金が必要なのは、主に制度の運用管理の人件費などである。

・現在の余剰電力買い取り制でも、実は上記同様である。その費用は、最終的には電気代から徴収されている。

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すなわち、余剰電力買い取りだろうがFIT制だろうが、その費用は同じように電気代から徴収されている(される)

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その上で費用対効果を比較すれば、現在の余剰電力買い取り制度は、FITに対して下記のような点で劣る。

買い取り価格が画一的・固定的になりやすい。

対象とする電源の種類、設置状況、技術の成熟度や普及割合などに応じた調節がしにくい(というか、現状ではそのような努力が殆ど為されていない)。すなわち、同じ効果あたり(費用あたり)で見れば、FITよりも無駄が発生しやすい。FITは別名こそ「固定」価格制だが、実は柔軟性に富む制度である。

買い取り価格が化石燃料の価格変動などに影響される。

これは特に、市場規模が比較的小さい段階にある各種新エネルギー事業者や生産者の財務面のリスクを増大させる。そのため資金調達の利率が上昇し、結果的には生産される設備や電力のコスト上昇に繋がる。

条件の悪いところが開発されにくく、技術開発がその分すすみにくく、開発可能量がより制限される。また、ある水準以下に価格が下がりにくい

FITならば条件に応じた額を設定することで、条件の多少悪いところも積極的に開発を進め、それに合致する技術水準の製品の開発を促せる。最終的には開発可能な資源量が増え、市場規模も増大することが期待できる。

現行制度では、条件が良く、ある時点の買い取り価格でペイするところは、それ以上にコストを下げる動機が薄れ、コストがそれ以上下がりにくくなる。

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もちろん、現行制度もそれなりの効果は発揮している。しかし、同じ費用や効果当たりで考えれば、やはりFITには費用対効果で劣ると考えられる。そして再生可能エネルギーは、今急速に拡大変貌している分野である。現時点での競争力の小さな違いが今後の大きな違いに繋がる可能性を思えば、現段階でその違いを放置するリスクは決して無視できないだろう。

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日本人はこういう時に予防的措置を好まず、ぎりぎりまで粘ってケツに火が付いてから「やっぱダメだった、助けてくれ」とばかりに他国(主に米国?)に頼ったり、金ばらまいて誤魔化したりしてるような気がする。

でも温暖化対策だけは、それをやっちゃったらアカン。ケツに火が付いたときは、たぶんもう取り返しがつかないから。

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私のこの主張の最大の弱点は、日本においてはその効果が詳しく検討されておらず、その分不確実性が大きいことだ。しかし、これはFITに反対する側にも同じことが言える。

ならば参考にできるのは海外諸国でのこれまでの実績であり、それを参照する限りでは、FIT以外の方式に勝ち目は無い。それどころか、この日本においても現行方式の普及促進効果は全く不足し、普及ペースが増えるどころか、逆に減ったりしている。それでも現行方式のほうが優れているとおっしゃる方々は、自分が本当は何故そう考えている(考えたい)のか、今一度自問されるようお願いする。

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また、FITの優位性を認めた上で拒むならば、それは要するに制度を(というか、人を)変えるのが面倒だから、ということになるだろう。その場合は、将来それによって不利益を被っても、文句を言わない覚悟がおありですか、と問わねばならない。そういう長期的問題から逃げて逃げてにげまくった末、少子化だの医療崩壊だの地方経済破綻だの温暖化対策不足だのでモメまくっているのが今の日本なのだから。

…とどのつまり、温暖化のリスクがどれほどのものか、どれだけの速度で対策せねばならないか、その社会や経済などから見た影響を定量的に理解している自信はおありですか、と問うことになる。

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上記が人によってはかなりキッツイ内容になるだろうということは承知しているが、私はあまりうまい言い方を知らない。申し訳ない。しかし、誰かが言っておかねばならない事だろう。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
kynthm (2008-04-10 (Thu) 21:45)

さくらぃさん、ブログを見ていただいているということで光栄です。私はさくらぃさんのブログの最も熱心な読者の一人だと思います。<br><br>今までにも何度かツッコミを入れさせてもらおうと思ったのですが、プロ相手に何となく気後れして遠慮させてもらっていました。<br><br>また、町のホームページですが、私が風力発電の担当になり勉強のために他の自治体や風発事業者のホームページを見て回った結果、自分の知りたい情報を公開しているサイトがまたくなかったので、その時の経験を生かして作りました。<br><br>これからもブログの更新を楽しみにしています。

さくらぃ (2008-04-10 (Thu) 22:44)

kynthm様、お越し頂いて光栄です。私の方から見れば、実際に現場で運用に携わっておられる方こそがプロで、こちらこそ気遅れしておりました。未熟者の恥ずかしい文章(^^; ではありますが、これからもどうぞよろしくお願い致します。


Written by "バカ殿"さくらぃ
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