壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2008-05-04 (Sun)

BD堪能

先日の出張中、「プラネットアース」のBDボックス(独語版)を見つけた。

店頭にて

箱にリージョンの表示が無かったので果たして日本で再生できるかどうか不安だったのだが、安かったので思い切って買ってきた。

PS3に突っ込んでみたら無事再生。どうやらリージョンフリーらしい。

無事再生

アッテンボローが語る英語音声(5.1ch)も英語字幕も入ってるのでそのへんも無問題。

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とりあえず最初の数話を観た感想。これはBlu-rayじゃねぇとダメだ

無数の鳥

こんなん、DVDでまともに表示できるとは思えん (^^;;

この鳥を映したシーンは、このあとさらにズームアウトして行く。文字通り鳥肌が立つような映像。

いやはや、BBCってすげーわ…。

進まない原因

進まない日本の温暖化対策は環境省と経産省の対立が原因(読売)。これなぁ…。ほんとは対立するようなことじゃないんだけどなぁ。

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まず全体的な状況だけど

(1)温暖化は疑いようもなく進行している。

(2)科学的な調査結果を総合すると、温暖化を促進しているのはほぼ間違いなく人間。

(3)温暖化をこのまま放置すれば、数十年程度で経済面から見て看過できないような被害が発生しそう。

(4)今から徹底的な温暖化対策を行えば、被害はなんとか許容範囲に収まりそう。対策費用を含めても、被害はずっと少なくなりそう。

このへんは気象庁によるまとめを良く読むべし。

デマに騙されちゃダメ。いつまでも砂地に頭突っ込んだダチョウみたいな真似しない。

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要は、現代社会は既に、温暖化によってその経済活動の規模を制限される所まで来てしまっている。そういう状況だから、経済面からみても対策をするのは妥当だ。そこまでわかっていても、なかなか動かないのは何故か。

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温暖化対策をするということは、結局は、現在頼っている化石燃料を使わなくなると言うことだ。ご承知の通り、現在の社会や産業は化石燃料に深く依存している。つまり、温暖化対策を進めれば、必ず社会や産業に大きな影響が出る。

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そこで日本人の悪い癖が出る。(どの国の人でも多かれ少なかれ共通する事ではあるが)日本人は、社会や産業の変化を反射的に嫌う傾向がある。僕の個人的感想だが、「温暖化なんて嘘だ」「温暖化対策なんて無駄だ」というニセ科学を簡単に信じてしまうのも、そのせいではないかと思う。

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しかし先ほど「影響」と書いたが、その影響は「マイナス」の影響もあれば、「プラス」の影響もある。

・「マイナス」の影響…化石燃料に依存した産業は、競争力低下や市場縮小などの影響を受ける

・「プラス」の影響…環境負荷のより少ない、新しい産業が生まれる

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よく考えて欲しい。石油を使わなくなると言っても、経済活動の規模は維持されるのだ。温暖化対策を進めるということは、経済活動の規模は維持しつつ、その活動内容を変えていく、ということだ。

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温暖化対策にはコストがかかる、と抵抗する人々は良く言う。しかしコストをかけるということはすなわち、その分新しい経済活動が生まれる、ということも意味する。つまり、上記の「プラスの影響」を増やすように働く。

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逆に極端なケースとして、温暖化対策のコストをけちって、新しい技術に全く投資せず、単純に石油の消費量を減らす方向にのみ対策を進めたらどうなるか、考えてみてほしい。

…答えは簡単だ。「マイナスの影響」しか出ない。経済活動の規模はひたすら縮小していく。究極的には経済や社会そのものが破綻するか、温暖化で破滅するかの2択になってしまう。

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しかし日本の現状は、全体的にはこの極端なケースに近い。いろんな手法に手を出してはいるものの、それを実際に普及させて排出量を減らすに至っていない。実際に普及させなければ、温暖化対策が進まないだけでなく、経済面での「プラスの影響」もろくに期待できない。(釘を刺しておくが、自国内で普及させずに輸出だけで食おう、などという考えもやめた方がいい。投資無しで利益が期待できるほど、世の中甘くはない。)

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どうも文章が下手くそで伝え切れてない感もあるのだが、なんとなくイメージだけでも掴んで頂けるだろうか。要は、それなりにコストをかけながら温暖化対策を進めなければ、経済面での競争力は失われ、究極的には自らの社会や経済も破綻するということだ。(もちろん、かけ過ぎてもいけない。適切なコストをかける、という所がミソ。)

日本は確かに省エネ技術では世界でもトップクラスだし、経済活動あたりの排出量も少ない。だがそれは温暖化対策よりもむしろ、エネルギー自給率が低いハンデを克服し、市場における競争力を高めるために導入されてきたと言えるだろう。今後同様の省エネ技術が世界に普及すれば、多かれ少なかれ、これまでの日本のアドバンテージは損なわれるはずだ。アドバンテージを保つには、これまで以上の排出量削減の努力を続けるしか無いはずだと思うのだが、如何だろうか。

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なお、産業が変化するということは、労働人口の分布にも変化が起こるということだ。これがあまり急激に変化すると、皆がついて行けなくなってしまう。世代交代を利用して、なるべく自然に変化するようにしようと思ったら、20〜30年はかかる。それぐらいのタイムスケールで考えながら対策を進めないと、酷いことになる。

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つまり、環境負荷の少ない新しい産業を育てるには、20〜30年ぐらいの時間とコストをかけて育てるのが基本のはずだ。そうしないと、経済活動の規模を維持しながら温暖化対策を進めるのにあたって、どこかに無理が出るだろう。

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その一方で温暖化は既に待ったなしの状況で、できる限り急がないと間に合わない。2050年に排出量半減という目標でも、まだ手ぬるいかも知れないと言われている。(IPCCのまとめた予測には不確実性があるし、それを批判する人もいる。しかしこの不確実性によって、被害を過小評価している可能性もあるのだ。過大評価の可能性だけを批判するのは非合理的だし、それを根拠に対策の必要性を否定するのはもっと非合理的だ。)

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というわけで経産省の立場からも温暖化対策の推進は喫緊の課題のはずなんだが、何を勘違いされてるんだか…。既得権益ばっかり気にしてると、自滅しますよ(ばっさり)。

ちなみに

上記のような視点で再生可能エネルギーに関する対策を進めているのが、まさに欧州のフィードインタリフ(FIT)制なんですがね…。ドイツで環境省と経産省が連携して対策を進めてる理由、ちゃんとわかってるんですかね。

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ついでにもう一言書いておくと、昨年にIEA(の一部)がFITを批判するレポートを出しちゃったけど、あれは凄い勘違いに基づいてるから、たとえ反対派でも論拠に使わない方がよろしい。

"価格低減のためにmarket basedな仕組みにせよ"って言ってるけど、そこで考慮すべきmarketを間違えているのがその理由。太陽光とか風力は、燃料がいらない。コストが殆ど設備価格だけで決まる。だからmarketって言ったら設備価格のmarketが最重要だ。少なくともEUではそのmarketは極めてオープンで(なにしろ関税が無いのだから)、FITかどうかに関係なく、とっくに"market based"が実現されている。それなのに石油やウランの価格に左右される電力価格市場で判断するのは非合理的、かつ非効率的だ。

IEAのレポートを名乗るには恥ずかしい大ボケだし、もしそれが何か公的な文書に使われたら、こちらとしてもバッサリ切り捨てるしかありません。

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さらにトドメを刺しておけば、そのレポートを書いた人達も、枯渇性燃料の専門家は入っていても、再生可能エネルギーやFITの専門家は一人も入ってません。デンマーク人のチーム長も、経歴や過去の発表内容を調べられた方がよろしい。

もう一言

俺、本来は太陽電池そのものの研究者に過ぎないんですけど。しかも任期付きの若造。その若造にすら叱られる日本って、一体どうなってんの。


Written by "バカ殿"さくらぃ
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