壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2008-06-09 (Mon)

通過点

・温暖化ガスの中期削減目標を2020年までに05年比14%減に設定へ:[読売] [朝日] [毎日] …おぉ。とにもかくにも、一歩前進か。一部お偉方が古い考え方に囚われている(らしい)中、この短期間で指針を示せただけでも成果だと思う。ここからがまた大変だけど、ごまかしを排除して正確なデータを使うように心がければ、最適の道は自ずから議論の余地の少ないものになるはずだ。

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関連記事:日経BPの塩崎議員へのインタビュー

ちなみに

太陽光発電のポテンシャルを参考までに記しておくと、仮に"PV2030"ビジョン(これは2030年の目標だけど)のように100GWp導入すると、

設備量1kWpあたりの発電量は(日本における実績で)年間1000kWhぐらいなので、100GWpならば年間発電量はだいたい100TWhぐらい。

・排出量の削減量は、電力量あたりの効果を600g-CO2/kWhとして、年間60Mt-CO2。日本の年間総排出量は1274Mt(2006年)なので、その約5%を削減する効果が出る。2020年時点では1%強。ややスロースターターなのは先行投資ということでご勘弁願うしか無いが、国全体の収支バランスとしては、(ドイツのように)輸出産業としての利益でお釣りが来るはずだ。もちろん、最初にドカンと投資してしまえばもっとペースは速められるけど、省エネなど他の対策にも費用を回す必要性からはこの程度が妥当だろうと思う。先に紹介したIEAのレポートの通り、エネルギー関連の対策では、最も費用対効果の高いのは省エネ(しかも建物などが相手だから、急ぐ)なので。

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年間1GWpから増やしていって2030年までに100GWp導入するペースの場合、2029年には年間9GWpぐらい導入する計算。半分を輸出した残りだとすると、国内生産量は18GWpぐらいとなる。

これに対して、2030年の世界市場規模は数100GWp規模などと言われているので、「18GWp」は全くと言って良いほどカワイイ量だ。半分と言わず、輸出比率が7〜8割以上(つまり国内生産量が30〜45GWp以上)になるよう、国内生産分の競争力を高めるのが望ましいだろう。そしてそこから得られる利益を、国内外での温暖化対策に回すのだ。これは技術だけでなく、量と政策の勝負でもある。

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たとえば年間20GWpを輸出したとすれば、コストが15万円/kWh(現在の4分の1)まで下がったとして、年間の輸出額は3兆円。国内で与えた付加価値を20%としても、年間6000億円分の貿易収支への寄与になる(この付加価値の割合が実際どのぐらいなのか、僕は知らない。もっと大きいような気がする)。そこから、CCSや電力系統の改良など、国内外でのさらなる排出量削減策に回すことができる。この数字はすごく大雑把だけれども、太陽光発電にはそんな規模のポテンシャルがある、ということだけは忘れないで欲しいと思う。

コストダウンの余地

なお、上記でコストが現在の4分の1になるとおいているが、これも十分に可能だと思われる。というのは、最近市場シェアが増えてきている薄膜太陽電池の場合、液晶みたいにドでかいマザーガラスを一気に太陽電池に仕立てて、必要なサイズを切り出す、という量産手法でコストダウンが可能だからだ。現在はまだそこまで自動化が進んでおらず、工程間に人手が入ったりしているので、高くて当たり前だったりする。

さらに現在の価格では、流通コストの割合も大きい。実は半分近くが流通や設置のコストで、販促費・輸送費や人件費をたっぷり含んでいる。流通量が増えるだけで、これも数分の1に圧縮可能と予測されているのだ(Japanese-German Photovoltaic Energy Initiative Symposium, Hannover,4 Apr 2008 でのシャープやQ-Cellsの発表による)。

というような状況なので、たとえ「何かすごい技術的ブレークスルー」が全く無かったとしても、単純に流通量を増やすだけで何割ものコストダウンの余地がある。もちろん技術開発だって続ける必要があるけれど、いま走り出すのに十分な材料は、日本には既に揃っている。企業側も準備を整えつつある。今度は、政策が仕事をする番だ。

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投資無くして利益なし。


Written by "バカ殿"さくらぃ
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