壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
2004|08|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|09|12|
2012|01|02|04|06|10|11|12|
2013|01|04|08|12|
2014|01|12|
2015|01|12|
2016|01|12|
2017|01|12|
2018|01|12|
2019|12|
2020|01|
はやぶさ2計画絶賛応援中


2008-06-18 (Wed)

ツッコミ

温暖化対策に関する経団連のリリース。…うーん、まだまだつっこみどころ満載やなぁ。

_

とりあえず再生可能エネルギーの活用のあり方に突っ込んでおこう。IEAが昨年ドイツの制度を批判したことがあるというくだりについて。これはたぶん、日本でも気付いてる人が少ないから。

_

経団連が言及してるレポートはIEA, Energy Policies of IEA Countries – Germany 2007 Review, Jun 2007。これはドイツの制度(フィードインタリフ)の成功を褒めちぎりながら、その見直しを迫っている。

・まず、主な論拠が、「国際的な電力取引の妨げになる」。…もちろん、日本には全くあてはまらない。

・同時に、「価格を下げるには、(電力)市場での競争が最優先」。…これは運転コストの比率が無視できない火力発電や原子力発電などの考え方で、クリティカルな間違い。太陽光の運転コストなんざ、無視できるほど少ない…燃料いらないんだから。肝心なのは設備の市場での競争。当然EU内は関税無しで、これ以上"market-based"にしようがないぐらいオープンだ。

・さらに、フィードインタリフの額が高い高いとは言っているけど、「高すぎる」とは言ってないし、やめろとも言ってない。そう言い切れるだけの論拠を示せていない。

・とどめに、つい最近IEAが出したレポートでは、TGCよりもフィードインタリフ(FIT)が優れている(TGC=グリーン電力証書制度。日本のRPS制を含めたquota制で主に使われる)と、当のIEAが認めている。IEA, Energy Technology Perspectives 2008, Jun 2008を見よ。

_

と言うわけで、「IEAが批判してた」というのは全く論拠にならないばかりか、それを論拠に使えば恥をかくだけだ。前にも書いた。

このあたりはフィードインタリフの解説のFAQに既に入れてあるので、参照されたい。

_

件のレポートは、書き方としても疑問点がたくさんある。

たとえばこの執筆陣は(obligationという遠回しな表現で)quota制を勧めていながら、これの欠点には一切触れていないし、例として挙げている事例もフィードインタリフに勝る効果を挙げている訳ではない。quota制が無駄も多く効果も劣ることは経験的に自明と言われているのに、それの方が優れているという実際の証拠は何もない。

レポート全体を頭から尻尾まで良く読めばわかる(というか、そうしないと分からないようにobligationやmarketなどの単語が配置されている)のだが、結局は論理的に筋が通って無くて、詭弁と呼べるような内容の報告書だったりする。

_

----------

世の中には色んなことを言う人がいます。でも少し勉強するだけで情報の信頼性はすぐわかるはず。それこそ、僕のような若造でも突っ込めるぐらいに。…対策に力を入れることで実際に活力を得ている国々を、自分の目で見て判断しないといけないと思います。

日本の経済背負ってるんですから、もっと勉強して下さい。

_

以前みたいに片っ端から温暖化対策をバッシングして足を引っ張りまくってた頃に比べれば、前進だとは思います。でも上記のような先入観に基づいた批判ごときに引っかかってるようでは、失礼ですが、まだまだ検討不足だと思います。

温暖化対策は新しい経済効果も生みます。人の足を引っ張るのは、対策費用と経済効果をバランスさせながら対策を進めるにはどうしたら良いか、検討してからにして下さい。単一の対策で片付くほど、事は簡単では無いはずです

_

急いで下さい。あなた方自身が、今もっとも日本の足を引っ張っていると思います。それも、特に若い世代の足を。


Written by "バカ殿"さくらぃ
 [利用上の注意]