壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2008-08-14 (Thu)

塗る太陽電池

塗るだけで太陽電池(gizmodo)…「太陽電池へ分解」ってすごい誤訳。どこのSFやねん(ビシッ)。原文を見ますと、原意はこんな感じです:

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タイル状の太陽電池は忘れよう:イギリス・スワンジー大のチームは、ペンキ状の材料による太陽電池”パネル”の製法を開発した。ペンキの劣化機構の研究の副産物たるこの発明は、金属表面にかぶせた複数の保護層から成り、かつ入射する太陽エネルギーの5%だけを電力に変換することができる。この値はよくみかける太陽電池に比べて多くはない…が、そのかわりに建物の表面を全て使うことができる。

...(中略)...

もしどれか1つのメーカーが、生産する金属の被覆を全部この発電する被覆に変えたならば、それは風力発電所50個分に相当する発電能力を持つことになるだろう。

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New Scientistの記事がもっと詳しい。やはり有機太陽電池ですな。

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ペンキのように塗るだけで太陽電池になる仕掛けは実現可能と考えられていて、このチーム以外にもたくさんの研究が進められています。その鍵になるのが有機太陽電池です。

その理由は、塗布に真空や大がかりなプラズマ装置などが必要なく、かつ常温で形成できるから。実際、色素増感太陽電池なら家庭で作って遊べるほどです。

ちなみに、塗布+一時的な加熱で太陽電池を形成するプロセスなら、nanosolarという企業がCIGS太陽電池で実用化を始めています。

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一口に有機太陽電池と言っても種類はたくさんあって、これには色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池と呼ばれるものなどが含まれます。研究の進捗状況としては多くがまだ研究室レベルで、効率や耐久性の向上が課題になっています。でも一部は既にもうすぐ実用化が始まるだろう、という所まで来ています。内田先生のサイトのほか、うちの有機チームのページなども参考になるかも知れません。

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太陽電池の種類としては、現在は結晶シリコンが中心ですけど、今後は薄膜太陽電池(薄膜シリコン、CdTe、CIGS)も増えます。そしてさらに10年ほど遅れて、この有機太陽電池を含む、新しい型の太陽電池も徐々に加わってくるだろうと見込まれています。これのFigure 16 (38ページ)が参考になるでしょう。

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ただ効率と実績で勝る結晶系も、シェアは減るものの、それ以上に市場が伸びると予測されているので、当分は増え続けるでしょう。だからこの記事のように「旧いタイル状のは忘れて…」と本当に言えるようになるのは、そのへんの子供達が家庭を持つ頃かな?

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…殆ど一記事分書いてもーたがな。原稿料ください>gizmodoのひと (ぉ

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(8/15追記):修正されたようです。どういたしまして〜。

資料

後半の”風力発電50基相当”の誤訳に関しては、おそらく”太陽電池がエネルギー源にならない”というデマをご覧になったことがあるせいではないかと想像します。手前味噌ながらこのへん(公式解説)とかこのへん(デマへのツッコミ、長文注意)を適宜ご参照いただければ幸いです。

脱線

最終的に「現場で直接塗る」のが本当に便利かどうかは、また別問題かと。なんせ、感電のおそれがあるので。

個人的には、この記事のネタのように建材表面をまとめて太陽電池に加工しといてから現場で組み付けたり、 キシ ブル な製品をペタっと貼り付けるのが一般的になるんじゃないかと思います。

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…ご参考まで。

めも

米国Poet社、セルロース系エタノールを今年中に生産開始へ(GreenTechMedia)。最初は年2万ガロン。2011年には年間2500万ガロンへ、既に資金も調達。他にも同様の動き多数。

BP/Clipper、南北ダコタ州での風力発電プロジェクトを5GWにスケールアップ(REW)…OMG。

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あとは業績報告祭り。

Q-Cells、2008年前半を報告(solarbuzz) [プレスリリース]

→生産・販売量ともに+65%で263.5MWp…これだけで昨年の日本国内の年間導入量を超える量。年間では585MWpの予測。来年はさらに70%の成長を見込む。

→昨年同期に対してEBITは+47%。EBIT marginは今のところ約20%。年間の総収入は約2億ユーロを見込む。

→輸出シェアは昨年の57.6%から70.3%に増加。

→加えて、傘下のSolibroが来年からCIGS太陽電池の生産を開始。2つ目の工場も来年稼働予定。

→さらに完全子会社のSontorが薄膜シリコンの生産を今年末に開始。

→2009年末にはcore businessで1.3GWp以上の生産能力。2010年にはグループ全体で2.5GWp、うち子会社が400MWp以上。

→SunEdisonと組んで北米市場へ進出、既に2008-2013年にかけて800MWp以上の供給に合意。

…OMG。

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・その他、REC@ノルウェーApplied Materials@米国SunPower@米国FirstSolar@米国Yingli Green Energy@中国、、キリが無いな。今の日本ではあまり見ないような数値がずらずら。

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さくらぃ (2008-08-15 (Fri) 01:24)

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Written by "バカ殿"さくらぃ
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