壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2008-09-28 (Sun)

メモ

絶賛修羅場中でスクラップをサボってるけど、これだけはフォローしとこう。

経産省、太陽光発電住宅に補助 機器購入に1世帯20万円(日経BP)…予想通り、直接補助金をやろうとしてるのか。今まで言ってたことは全部ブラフ?やれやれ(汗)

率直な感想は、「良くも悪くも、やらないよりマシ。でも何の捻りもないし、効果も足りなさそう。」というところです。

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この効果を見積もるための基礎データを下記に幾つか記しときます。

・一般的な家庭の屋根に積める設備量:3〜4kWp (Wp=ワットピーク=性能・容量の目安。特定の条件下における発電量)

・現在の設備価格:3kWpでだいたい200万円ぐらい

・1年間の発電量(日本での実測データ):1kWpあたり約1000kWh/年

・1年間の売電収入:1000kWh/kWp/年 * だいたい20〜30円/kWh(電力会社や料金プランによって異なる)= 2〜3万円/kWp/年

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現状の簡単なまとめ:

場合によっては現状でも元が取れるが、そのようなケースは限られる。

3kWpの設備では毎年の売電収入が6〜9万円なので、現金一括購入でも、金銭的に元を取るには単純計算で33〜22年かかる。実際は料金プランの工夫などでもう少し早くできて、15年ぐらいで元が取れる場合もあると聞くが、それもインバータの故障などで修理費がかかれば簡単にもう数年延びてしまう。

また購入時に借金をした場合は利子が上乗せされるので、金銭的には元を取るのがさらに難しくなる。

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この補助策である程度の効果は見込める。その効果が充分かどうかが重要だけど、これだけでは十分な効果を得るのは難しい。

今回の補助金で、金銭的に元を取れる場合は増えるはずです。東京都のように自治体による補助も、その効果を増すでしょう。でもそれでも、現状では元を取れる場合は限られます。

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また、目標量自体も小さいです。来年度予算として10万戸を想定ということですが、1軒当たり3kWpとすると300MWp。これはドイツどころか、去年のスペインにも負けます。スペインは市場が過熱したので来年は一旦冷ます方向で検討が進んでますが、その「冷ました」ペースでも300MWp以上が検討されています。

さらに、イタリアにも抜かれますね。来年(2009年)は450MWの導入が予定されていますので。

そして世界全体の市場は、いま年率4割ぐらいで拡大しています。

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そのような状況では、下記のような点が重要になってくるでしょう。

・国内生産の競争力を保てるのか。量産規模を拡大し、技術に投資する速度で負けていないか。

・将来の自国の需要を賄えるのか。風力発電のように殆どが輸入品になったりすれば累計何十兆円も貿易収支を悪化させる可能性があるが、それを回避できるのか。

・2030年に30兆円とも50兆円とも言われる世界市場で生き残り、電気自動車や船や建築物等にも組み込んで販売していけるのか。

・そもそも、温暖化によるビジネス環境や政治情勢の変化に日本がついていけるのか(太陽光発電だけで対策が終わるわけではない)。

そんな長い視点で見れば今回の補助金は、まだ一時しのぎにすぎないと言えるでしょう。というか正直、「一時しのぎ」にすら足りない気が。

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関連データや背景説明は先日の導入効果検討のExcelファイルにまとめてあるので、適宜ご参照下さい。

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↑お気づきと思いますが、ここまでは純粋に金勘定の話しかしていません。

もちろん太陽光発電は排出量削減にも寄与するし、エネルギーの自給率向上にも貢献します(職場の解説頁をご参照あれ)。

ビジネス的に普及を進めれば、そうした環境やエネルギー安全保障上の利益は、勝手に付いてきます。既にそういう風にビジネスが回り始めている、と言えるでしょう。

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要は、「利益を得たければ、投資をサボらないでね」という話に集約できるでしょう。投資が多すぎても少なすぎても費用対効果が悪くなるし、定期的に調節するのも重要です。こういう考え方が最初から組み込まれているのはFITの重要な特徴のひとつですし、それに学べることは今後山ほどあると思います。

必須技術?

ビジネス的に興味ある人には、たぶん下記も面白いに違いない。というか最近立て続けに問い合わせが来てるので、面倒だから貼っておきます (^_^;;

スマートグリッドに関する日経の記事…電力制御で商売したかったら、たぶん避けて通れない話だと思います。SmartGridで検索してみて下さい。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]
Imamura (2008-09-28 (Sun) 22:26)

元を取る取らないという話であれば<br>> 金勘定の話<br>も大事ですが、そもそも自宅に太陽光発電設備を入れる機会を考えるとやはり新築時に合わせてというのが一番多いと思います。その点現状では低金利とはいえ新築着工件数は減っているんじゃないでしょうか。さらに言えば200万円が180万円になっても初期投資としてはバリアが高いですよ。

さくらぃ (2008-09-28 (Sun) 22:41)

同感です。この助成水準では、最初からある程度現金を用意できないと、元が取れません。 <br><br>でも普及の利益を最大にしようと思ったら、「新築で日当たりが良かったら大半の家がつける」状態にならないといけないはずなんですよね。<br><br>このままだと、「100円のお菓子を10円で買おうとしている」話になりますね。 <br>(10円ってのはちょっとひどいかな。感覚的には30円ぐらいかと。)

ヤマグチガク (2008-10-03 (Fri) 19:30)

櫻井様<br>はじめてコメントします。山口岳と申します。<br>FITの導入試算拝見致しました。<br>大変、勇気づけられました。<br><br>と申しますのも、<br>私、今、FITを日本にも導入するための<br>アドボカシーキャンペーンをしかけたいと企画中です。<br><br>いくらの負担で、どれだけCo2が削減できるのかを、<br>広く告知して、国民のみんなの声を聞こうという<br>キャンペーンです。<br><br>これをやって賛成する人が多ければ、<br>政策にも反映せざるを得ないのかなと思います。<br><br>で、桜井さまの試算データを、<br>より確固たるものにして、<br>広く世にしらしめたいのですが、<br>ご相談にのって頂けませんでしょうか?<br><br>いつでもつくばにお伺い致しますので、<br>メールを頂ければ大変嬉しく思います。<br><br>何卒、ご検討くださいませ。


Written by "バカ殿"さくらぃ
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