2008-10-04 (Sat)
☆ 花火
つくばに住んでたらこいつは外せないぜ、ということで土浦全国花火競技大会へ。
場所は前日に確保しといて、コンロをAoVA家でお借りしてGORRY先生・にらん・おじいとつくば駅で合流。昼飯で惨敗したりしつつ買い出しを進めて会場入り。三脚並べて陣取る。ずらり。
のぞみも合流。教えて貰いながら撮りまくったり干物食ったり。コンロ大活躍。来年は周辺機器を強化しよう。堪能。
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今年は案内放送が強化されてたり観客誘導もスムーズだったり、スタッフがいい仕事をしてる感じ。花火も良かったが、運営も拍手もの。
満足して撤収。先生を駅で投下してから家でまたーりしつつ沈没。
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つーことで写真はこちら。
2008-10-05 (Sun)
☆ めも
また久々。
・東京都も補助金を来年度より実施…と暫く前のニュースなんだが、まだ具体案は出てきてないかな。東京都はかなり前から太陽光や太陽熱の普及促進のあり方を議論してきていて、色んな制約の中でも頑張っている。1kWpあたり10万円だと、経産省の打ち出してる7万円と合わせて17万円/kWpか。200万のシステムが149万円になる計算。うーん、あとは税額控除があれば、多少借金して導入した人でも元が取りやすくなるかも知れないな(それでも、要になっている余剰電力買い取り制がボランティアでしかないとか色々問題はあるけど)。
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税額控除は、アメリカが用いているITC(investment tax credit)とPTC(production -)が代表的。これが更新時期を迎えるに当たって、化石燃料への補助金を一緒くたに混ぜようとする勢力が出てきたりして、モメまくっていた。が、ついにブッシュさんもサインしたとのこと。
・各社報道:[Greentech] [REW] [TreeHugger] [Solarbuzz]。Emergency Economic Stabilization Act of 2008 (H.R.1424)。すったもんだの末、最終期限ぎりぎりで成立。ITCにあった$2000ドルの上限を廃止、系統側企業もITCに参加可能に、などの追加点もあり。
…ニュースサイトにはやれやれ、という反応が多い。まぁ一年以上も抵抗されまくったから、当然といえばそうだが。
でも再生可能エネルギーへの投資は過去最高を記録なんてニュースに代表されるように、ここ数年のアメリカの動きをみていると、彼らはどこかでこうなることを知っていたんじゃないかと思える。生産量の推移とか見てると、特に。
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なお、制度の効果としてはITCは日本の直接補助金に近く、PTCはFITに近くなるだろう。ただし予算に縛られる分、性格的にはquota制に近い面も持つ。欠点をしっかりフォローすれば、それなりに効果も期待できるやり方だ。
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・シャープ、薄膜太陽電池の市場半分を目指す(Reuters)2015年までに6GWpに。…堺工場の最大値でも1GWpだから、あと5GWpをどこかに建てないといけない。
薄膜太陽電池ってのは液晶みたいな製造工程で量産できて、工場がでかいほど競争力は高まる(もちろん技術力や市場からのフィードバックとかも要る)。1工場の年間生産額が数千億から1兆円以上になるんじゃないかな。
・GoogleのCEOが国の排出量削減プランを提案(GTM)。化石燃料によるエネルギー源の利用を88%削減可能。総費用は仰天モノの4.4(4.3?)兆ドル、さらに積極的な政策が必要。「控えめに言っても、これは挑戦的だ」と記事もコメント。だがそれを上回る5.4兆ドルの利益を生むだろう、との試算結果。SmartGrid技術や、自動車の燃費改善にも言及。
・カリフォルニア企業が450MWの薄膜太陽電池工場の立ち上げを発表(GTM)。CIGS系…どっか大きなところがアメリカで動いてると思ったが、こいつらか。
・東芝のSCiB充電池がGTMでも取り上げられてる。太陽光や風力の現時点での独立電源用途だけでも使い所が山ほどあるように思う。
ついでにキャパシタも長寿命化して頂けませんかね。
・独ボッシュ、太陽電池/モジュールメーカーのErsolを買収(Photon)…あー。車載狙いか。
・バチカン市国で太陽光発電導入中(TreeHugger)。世界初の「カーボンニュートラルな国」になることを目指す。
・CO2回収装置を開発…CCSの一種か。回収に使用するエネルギーが従来より少なくなるのが利点?
・1000羽を超える迷いペンギンがブラジルの海岸に漂着。(BBC)。通常より多く、彼らの食物−魚−の分布に何か異変が起きたのではないかと心配されている。
一部は死亡したり油をかぶったり。弱って送還できないものは(有名な観光地である)Bahiaでしばし保養中、とのこと。
・ dai [え?キャパシタって、寿命制約きついんですか?]
・ さくらぃ [メーカーの人に「30年持つ奴造って下さい」って言ったら「うーん」って考え込まれちゃいました(笑) いまのところはパワ..]
・ ばば@ちゃいな [おひさしぶりです。ごぶさたしてしまっています。 まだ上海にいます。。 久しぶりにHP見たらこんなことになっていたとは..]
・ さくらぃ [おー、生きてたか。メラミン牛乳騒ぎとかあったから心配してたよ。 つくばもまた寄ってくれ。]
・ dai [コンデンサの場合(例えば電解コンデンサ=ケミコン)、充放電回数は関係なく、経時劣化がある。一方、バッテリの場合、充放..]
・ さくらぃ [ええ、充放電回数に依存しないのは色々と有り難いんですよね。たとえば車載に耐えるぐらい高耐久になったら…と思ったら、す..]
2008-10-09 (Thu)
☆ めも
・スペインの助成水準調整の件、決着(REW)。一時は年間導入量をいったん300MWpまで減らすことも検討されてたけど、結局500MWpに。タリフの水準も32-34セント(約45〜48円)/kWhで決着。…ま、妥当な線やな。
ちなみに500MWpってのは、日本の昨年の(そしておそらくは今年も)年間導入量の2倍超。
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・代替エネ法改正(読売)…義務付けだけじゃ、あかんです。金は出さないが結果だけくれと言われても、みんな困るでしょう。
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何が足りないって、FITかRPSかとかそういう問題以前に、導入ペースの見通しが示されてないことが最大の障害と言えるでしょう。
・液晶工場みたいに大きな薄膜太陽電池工場がポンポン建てられるか。
・大規模で低コストな流通システムが構築できるか。
・技術開発に投資できるか。
・送電網に金をかけられるか。
こういう観点からみた時、最もネックになるのはもはや技術水準じゃありませんし、エネルギー需要家の取り組みでもありません。普及促進制度そのものの計画性です。計画性が無ければ、たとえ高い助成金を払っても効果は限られます。IEAも分析しているように。
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温暖化問題って、既に思いっきりエネルギーや経済の問題だと思うんですが。
制度さえまともに整備されれば、いまはクソ高い太陽光ですら、国として助成費用が回収可能と見るのが最も自然です。逆に制度がしっかりしてなければ、それこそ自動車産業で稼いだ利益が軽く吹っ飛ぶぐらいの損害が出るかもしれません。それも、ほんの20年以内に。私が簡単に見積もった結果はこちら。輸出入額の目安とか入ってますので、適当に設定をいじって見て下さい。
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別にこの記事だけで判断できる話じゃありませんが、化石燃料以前に、(失礼ながら)「化石みたいな考え方」を代替すべきじゃないかと思います。
どこで引っかかっておられるのか私にはよくわからんですが、ポイントはこのあたりでしょうか:
・「化石燃料にまつわるリスクや出費が無視できる」「ボランタリーな努力だけで対抗できる」、などの考えは、実績から言ってもう通用しなくなりつつある。
・企業とか技術者とか投資家にとっては、身銭切ってまで貢献できる程度は限られる。国内で困るようなら、海外に移れば済むため。
・助成を含め、温暖化対策に沿った出費そのものが、これからの経済活動の一部になる。エネルギー関連では、化石燃料よりもむしろ比重が大きくなっていく。
それぞれ反論は幾つも思いつかれるでしょうけど、それって世界の動きを覆せるほどの説得力がありますか?
# ここで分野違いの「教授」に騙されてたりすると、ハマります。分野が違ってたら、基本的に誰でも素人ですよ。念のため。
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↑この記述、対象を特定の組織の方々に限定してないです。組織問わず、(失礼ながら)どこか考え方の古い方々に考えて欲しい、ってことで。
あと、怒らせる意図もないです。私ゃバカなんで、いちいち怒ってる暇があったら、役に立ちそうな情報を拾って下さい。
2008-10-10 (Fri)
☆ めも
・三洋と新日石が薄膜太陽電池で新会社設立へ(日刊工業)…お、これは面白い。三洋の技術ならば…?
・シリコン供給不足緩和に関する日本語記事(EETimes)
・EETimesの連載…うわ、なんか名前が。そうか、説明役やってるときに取材に来られてましたな(大汗)
・朝日新聞の連載…紙面版も読んだけどあちこち精力的に取材されてるようで、私が読んでも面白い。紙面版もwebに掲載してくれないかにゃ。
・Lockheed Martinが海洋温度差発電のパイロットプラント建設へ(REW)。深部海水を汲み上げる冷水パイプにファイバーグラスを用いるのがミソ。
・アメリカ国内の再生可能エネルギーによる発電量が増加中(REW)。既に原子力の発電量に迫る。
・ルノー、EDFと組んで電気自動車を展開へ(GTM)。2011年までにインフラ構築。他メーカーの動きもたくさん。
・Konarka、有機薄膜太陽電池の工場が完成(solarbuzz)。…着々と進行中のようで。
・色素増感太陽電池に関する日本の開発状況のまとめ記事(日経)…日本企業だって凄いのですよ。
・燃料電池をPVに組み合わせる試み(日刊工業)…家単位だけじゃなくて、街単位とか変電所単位で設置してSmartGridに組み込みたいのう。
・経産相、エネルギー料金制度の見直し着手を表明(日経)。系統の強化の費用負担なども議論へ。…そもそも火力発電を何割も減らそうと思ったら電力の流れが大幅に変わるわけで、どんな対策使うにしても系統強化とかSmartGrid技術の開発は急務だと思う。あと、火力発電自体の稼働率も下がる(=コスト増える)しな。
系統強化(ちうか再構成というか)の費用は数千億円という(噂程度の)数字は聞いているのだけど、そのぐらいの金額は今年みたいに暫く原油が高くなるだけで吹っ飛んでしまうんだなこれが。
2008-10-14 (Tue)
☆ こだわり
・私たち、トラックボールじゃなきゃダメなんです!激しく同意するぞー!
Trackman FX使ってるけど、最近の広いデスクトップだと解像度が足りんのよー。高解像度で、ついでに使いやすいホイールも装備した奴を希望。
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さて仕事しごと<何かに追われているらしい
2008-10-26 (Sun)
☆ 業務連絡
メールでの私への連絡方法ですが、あまりにspamが多いので、私はyahooなど無料アカウントが多いアドレスはデフォルトで”spam箱”行きにしています。spam箱も時々チェックしてますが、見落とすこともあります。返事が期待できるのに反応が無い場合、ここのコメントでも試してみてください。
ただし匿名で私に正体明かさない人は優先度が非常に低いので、よろしく。
2008-10-27 (Mon)
☆ ツッコミ
某方面からのタレコミで気づいた点があったので、こいつだけフォローしとこう。
・金融危機を理由に気候変動対策に反対(読売)…なんだか微妙な報道っぷり。どのみち対策するんだったら、早めに手を打った方が、結局は産業面でもお得(うまくやれば、の話やけどな)。長期的に利益が見込める分野に景気対策兼ねて投資しとく、という視点からの記述が無いのは記事としてバランスに欠けとる。
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旧東欧がゴネてるのは、”ユーロバブル”のうちにEU域内で関連技術や産業を確保できた国(独・仏・蘭・伊・西あたりかな)との間で格差が開いちゃうからじゃないのかな。ぼちぼち始めようというところで資金の供給が細っちゃって、さて困った、という感じじゃないんかいな(俺は経済は素人だから、的外れかもしれんけど)。
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気候変動(温暖化)対策、という言葉でピンと来ないなら、「エネルギー問題対策」と言い換えたらわかりやすいんかな。
…保守的なのはわからんでもないけど、なんか、のんびりしすぎちゃいますか。
☆ なんか妙に検索が多い
ストリングリボン法によるウエハ製造ならEvergreen Solarのサイト見た方が速いです。
今は1つの装置から4本のリボンを一度に造れるはず。
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世界の動きがすごく速いんで、頑張って英語読まないと置いて行かれるです。
・ しばた [投資云々は語られてないような。 エリア毎の削減目標決めは排出権という金融商品の値決めなので人民元を切り上げろと言うの..]
・ さくらぃ [まぁ鈍る理由もあるだろうけど、それでもこの記事は否定的な面だけ捉えとるとは思うぞ。上手く使えば金融危機や景気への対策..]
・ しばた [アメリカの「金融危機や景気への対策」にはしっかり入ってるんだよな。日本もこういうとここそ見習うべきだよね。]
・ dai [「電力インフラ大転換に必要な投資を誘発する制度は何か?」というスライドを下記ブログにアップしました。 http://..]
・ さくらぃ [daiさんならいつでも歓迎です。 分かりやすくていいですね。特に 「始める前から行きすぎを心配するのは日本人の悪癖」..]
・ dai [そこでウケましたか。行政機関の大きな壁ですよね。]
2008-10-29 (Wed)
☆ 一言ツッコミ
・太陽電池のみで動く電気自動車(gizmodo)。…無茶しやがって。
つか太陽電池パネルは単純に直流電力(たぶん数十ボルト、200Wぐらい)を出すんだから、その代わりに適当な電源つっこんでやれば家庭でも簡単に充電できるっしょ。
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まぁEVやPHVに積むとそれなりに走行距離は伸びるんだけど、一番嬉しいのは「炎天下で渋滞に巻かれても電池切れを心配しなくていい」ことじゃないかと思う。カーエアコンの消費電力(*)ってデカいのよ。
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(*)...その道の人間からは150-250Wぐらいと聞いた。公的な資料があればタレコミ希望。
2008-10-31 (Fri)
☆ 講演
某所でWorkshopに参加。分野違いなんでどーなるかと思ったがやはり面白かった。
ここで反応のよかった「信用できない温暖化懐疑論」の見分け方。
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・「俺こそが一番正しい、間違っているはずがない。科学者なんぞ信用ならん」 = "オレオレ証明書"付きのwebサイト
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↑まぁこれだけで話は済むんだけど(笑)、以下、蛇足ながら説明をつける。
上記の逆はこうだ。
・「私達の主張には、まだ検討すべき課題も残っている。でもこれまでにわかった範囲のことは、ScienceやNatureなどの著名な論文誌で認められている。」="正しい証明書"付きのwebサイト
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科学は決して完璧じゃないんですよ。なんせ、人間のやることですから。だからなるべくたくさんの、しかもなるべく「その信頼性を判断できるような」人間のチェックを受けなきゃいけない。
特に「温暖化」みたいな影響の大きな事柄については、NatureやScience、それにPNAS(米国科学アカデミー紀要)みたいに世界中の専門家がチェックしてるような論文誌が、VeriSignクラスの証明書発行機関に相当します。
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「論文誌っぽい体裁」さえ整っていれば何でも良いわけじゃないです。フィッシング(phishing)詐欺でも、サイトの体裁だけは整っているのと同じです。
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さらに書いておくと、
・論点に関係のない人格攻撃を始める
・議論を引き延ばす、論点をずらす
・データや論拠を捏造する
・屁理屈を言う
・重箱の隅ばかりつつく
・支離滅裂な書き込みをたくさんする
などの行為は、掲示板などの「荒らし」と一緒です。排除なり無視なりの対処をお勧めします。
Written by "バカ殿"さくらぃ
[利用上の注意]