2009-09-03 (Thu)
☆ ぼそっ
コペンハーゲン(COP15)への備えが非常に心配な今日この頃。特に経団連は未だに具体的な対策シナリオを立案する動きが見えない。
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・参考:ドイツ産業界(BDI)の取り組み要約。
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このままだと、いずれにせよサンドバッグ状態かと。
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というのは、世界が対策をする動きは止まらないと思われるから。それどころか、加速する筈だから。
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何故かというと、IPCCの温暖化の被害予測は(私が知る限りですが)控えめなんですよ。あれでも。
例えば氷河の流下速度が速まる効果が「データ不足」で算入されてない。これが算入されると、たとえば海面は今世紀中に1m前後上がるんちゃうかという予測になったりする。
これはまだ控えめな方で、僕の知る限りでは最大25mまで上がる可能性が指摘されている。そうなるともう、現在の経済や生活の維持は不可能だろう。
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「そんなことが起こるわけが無い。これまでも大丈夫だったんだから、これからも大丈夫に違いない」と先送りで対処しようとする方もおられるだろう。でもその考え方を変えられないのならば、今すぐ引退をお勧めしたい。そんなことでは、これからどうやって日本経済が生き延びていくべきなのか、方策を示せないはずだから。
未来の予測に100%は無い。でも世界が対策へ動いている事は、もう疑いようが無いのだから。
☆ ぼそぼそ
・政権交代による買取制度への影響は?(環境メディア)…「全量買い取り」を導入するにしても、11月からの助成制度強化を止める必要は無いです。
必要ならば、次年度や次々年度から設置される分について制度を追加・変更していけば良いわけで。分散型電源なんで、そのへんは柔軟な対応が可能です。
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なにより年商5000億を超えて回り出した産業を止めても、誰も得しないです。せっかくの技術、がんがん利用する方向でどうぞ。色んな意味で。
2009-09-04 (Fri)
☆ 遅い
人手が足りない。派遣などを活用しているが、それでも不足感は強い。マネージメントができる人材が足りない。スキルを持った研究者・技術者も足りない。
世の中は失業率が問題になっているというのに。ブッシュ政権下のアメリカですら、何年も前から準備していたというのに。
日本はいつからこんな「変化についていけない社会」になったのか。遅すぎる。
☆ 補正予算凍結
なるべく短期間でお願いします。ほんまに「時は金なり」な状態なんで(汗)
☆ 集中投資
そんな中でもこの2700億を特定領域の研究開発に集中投資するプロジェクトは光ってると思う。僕に近い人達が絡んだヤツは残念ながら落選しちゃった(汗)けど、選考段階では凄い競争があったと聞くし、採択されたものも自分が分かる範囲ではSiCや有機系太陽電池などいずれ劣らぬ猛者な人&テーマ揃いで、すんげー楽しみだ。
たとえばSiCなインバータが普通になっただけで、世の中色々と幸せになるはず。太陽光のパワコンだって、かなり小さくできる。
2009-09-06 (Sun)
☆ サブチャリ
最近、2台目に折りたたみの自転車を買って利用している。最初は松浦さんが持っているA-Bikeにしようかと思ったが、やはり段差がつらそうなので断念。20インチ 14インチのものにした。スピードは出ないが、段差も十分越えられる。
これがすこぶる便利だ。すぐ畳めるし車にも載る。輪行にもよさげだ。
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しかし何より役に立つのは、メインの自転車が壊れた時だ。下手をすると店まで5kmぐらい押していかないといけなかったのだが、2台目に乗りつつ転がして行けば超楽ちん。もっと早く買えば良かった。
☆ DMC-FP8レビュー
ご臨終になったDSC-U20に代わって、ここ暫くDMC-FP8をブックマーク用に使っている。結論から言えば、満足。
・明るさ:思ったよりずっと明るい。手ぶれ補正もあって、夜景も手持ちでそれなりにいける。
・携帯性:角が立っていることもあり、U20のように首から下げるとさすがに大変そう。またレンズや液晶にはそれなりに気を遣う。でもウエストポーチに入れれば携帯性は十分。
・レスポンス:U20より速い。特にフォーカスが速いのがいい。
・メディア:VAIO TTはSDカードも読めるので問題なし。つか16GBだと撮影可能枚数2300枚とか出るんですけど(汗
・動画:ムービー撮影中でもズーム操作可能。良さげだが、まだ使ってない。
・電池:静止画だけならかなり持つ印象。今のところ、予備の必要性を感じない。
・機能性:構図線、合焦点を表示してくれるのが特に嬉しい。
これが3万以下で買えるとは、良い時代になったもんだ。
☆ ぼそっ
これまでどおり自動車産業を中心にして日本株式会社を運営していくにしても、(当面はHVも使われるにせよ)最終的にはEV化を前提とした産業構造に変えていかない限り、おそらく明日はない。
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経団連の人達って、まだその意味がわかってないんじゃないだろうか。国のエネルギー需給や下請けまで含めると、クルマのことだけ考えても、影響は恐ろしく多岐に亘るはずなんだが。
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モーターとか電池とか制御とか国全体のエネルギー(&炭素)マネジメントで実用水準での優位性をさっさと築かないと、アウト。
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文句言ってるだけじゃダメ。何がどれだけ速く出来るか、負担も利益も全部検討したシナリオが早急に必要なはず(中期目標検討委のシナリオは、負担しか見てない上に技術の進歩も算入してないから不適)。それすら出来ないならば、まず出来ることから手を付ける。
何もしないのは、誰にとっても最悪の選択肢。
2009-09-07 (Mon)
☆ うわ
うーん、一方的に25%減らすぞって宣言しちゃうのもどうかなぁ。
これはビジネスなんだから、もっとお互いデータ揃えて今後の相談ができる場を設けるのが先かと。
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一口に温暖化対策とゆーても経済に悪影響が強い物も利益が大きい物もあるし、国際交渉の場で小出しにしたいようなものもあって、一筋縄ではいかない。
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ただし世界情勢から考えて、(悪影響が許容範囲に収まる範囲で)できるだけ積極的に取り組んだ方が良いのは確かだ。
また率直に言って、今の経団連の動きはあまりに遅すぎると思う(あれだけ与野党とも説得したのに)。
動きが遅れることの何が損って、彼ら自身、さらには日本全体にとって損。結局は他の国が得するだけ。
☆ めも
・技術開発の進む風力発電(日経)…風力発電なんて、とバカにしてる人は一度読んでおけ。
・小水力発電も見直しへ(日経)
・昭和シェル、世界最大規模の太陽電池工場を宮崎に建設へ(読売)。[日経] [EETimes] [プレスリリース]。年産能力1GWpへ。…ついにキター!これは世界のCIS企業が震え上がるニュースと言える。しかも「どげんかせんといかん」の宮崎ですよ。海外サイトでも速報(PV-Tech)が。
昭和シェルのCISは薄膜太陽電池の中でも競争力高いですよ。Cdフリーで高性能。さぁ、どう育てます?:D
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・
IPCC地球温暖化第四次レポート―気候変動〈2007〉(IPCC/文部科学省経済産業省気象庁環境省)…出たー。早速注文。
・
世界の地球温暖化対策―再生可能エネルギーと排出量取引(浅岡 美恵/千葉 恒久/和田 重太/新澤 秀則)…合わせてお勧め。
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つか、やっと読売さんがポジティブなニュースも流してくれるようになった(ほっ)。
2009-09-08 (Tue)
☆ CM
えーと産総研は今年もオープンラボやります。
「コア会場」における展示+ラボツアーの構成です。
来場者登録は10/12まで、ラボツアーの予約は10/4までとなっておりますが、人気のあるラボのツアーは既にキャンセル待ちも出ている状況(定員を多少増やすかも知れませんが)ですので、予約はお早めにお願いいたします。
また14日はプレス向け先行公開、15日午前中はご招待客および「連携千社の会」会員様向けの特別展示となっておりますので、ご利用下さい。
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よろしくですー。
☆ 涼風
だいぶ秋めいてきた。今年は早いな。
2009-09-10 (Thu)
☆ 業務連絡2件
めっちゃ関係者向けです。
・基準セルの校正サービス、ようやく開始でございます。大変お待たせ致しました。
既に現場は機械のスケジュール空けて、手ぐすね引いてお待ちしております。よろしくお願いいたします。_(_._)_
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・pvsystem.netがルータの故障によりアクセス不能となっています。復旧まで今暫くお待ち下さい。
→とりあえず復旧しました。お待たせいたしました。
つーかこれ10年近く前の整備なので、そろそろシステム丸ごと更新が必要な罠。
・ FIRST [どこに書けばいいかわからないのでなんとなくここにタレコミテスト。 http://www.recordchina.c..]
・ さくらぃ [この手のデマは、相手にするだけ時間の無駄です。 http://ksakurai.nwr.jp/R/slides/mi..]
・ さくらぃ [その香港紙の記事は見る限りでは、シリコンの精製工程の使用エネルギーを普通より一桁大きく見てると思われます。どこでおか..]
・ FIRST [ほむほむ。ということは 「10キログラムの多結晶シリコンの生産に2トン以上の石炭を消費しなければならない」というのが..]
・ FIRST [まあさくらぃさんが「相手にするだけ時間の無駄」と言いたい気持ちも分からないではないのですが、JAXAのこのページのよ..]
・ koyama41 [数値の正確さは私にはわかりませんが、 「電気容量1000ワット(冷蔵庫が1日に消費する電力)のソーラー板」 のところ..]
・ さくらぃ [FAQは細々と作っていますが、なかなか進みませんすみません。 とは言えさすがにそろそろ必要なので連休中に形にするつも..]
2009-09-13 (Sun)
☆ 戦国時代
・カネカ、ベルギーIMECと太陽電池のナノ加工の共同開発へ(日経)…最近は公立の研究所であっても国際競争の時代。他にもFraunhoferなどが各国で売り込みをかけている。ぼやぼやしていると、人も技術も企業も取られちまう。
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企業に国籍なんか無い。金は世界を巡り、人だってどこでも働ける。でも自分が日本で安心して暮らしたければ、相応の人・技術・資本を日本に惹き付けなければいけない。
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たぶん戦後の日本は山のような失敗を重ねながら、どんどん自分たちでメシの種を作り出していたのだろう。でも少なくともここ10年は、変化を嫌う余りに出る杭を叩き人の足を引っ張り、タコが自分の足を食うような真似をして来たように俺には見える。
☆ メモ
・First Solar、中国に合計2GWpの太陽光発電所を2019年までに建設へ(日経)。電力はFIT制度で買取。…中国に工場を建てる取引をしたのかな。いずれにせよ、もうギガソーラーの時代になる。
・iSuppli、2009年の太陽電池メーカーシェア予測(SIJ)。FirstSolarが頭一つ抜けてついに首位、それをSuntech・シャープ・Q-Cellsが追う展開に。
・Suntechがついに効率でタイトルホルダーの仲間入り(SIJ)。…昔の米国と日本を連想したのは俺だけか?
・三菱、効率を高めたモジュールを発売(日経)
・九州電力、10MWp級のメガソーラー建設へ(西日本新聞)。既に建設中の3MWpなどと合わせ、計20MWpに。
・米Innovalight、18%の変換効率を確認(EETimes)。Siナノ結晶とか研究してたとこ。
・Renewables Global Status Report 2009がリリース(REW)。2008年は系統連系太陽光が+70%、風力が+29%。新規発電設備への投資額は全REの合計で135億ドルに。
・Fordの工場跡地、太陽電池や蓄電システムの生産企業が活用へ(PV-tech)…象徴的なニュースやな。
2009-09-14 (Mon)
☆ ぼそっ
「2℃以内で安定化」が公式目標かどうかとか、日本の目標が公約かどうかとか、そんなことは二の次だろう。
日本は既に、これまでの「6%減」の約束を破っている。のみならず、逆にその1.5倍を増やしている。実際の行動が伴わない限り、口約束は信用されないだろう。
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約束をしようがしまいが、成果が伴っていなければどのみち不利になるはずだ。その分、他国に払うお金が増えてしまうから。
なのに、形式論でグズグズしてる余裕があるだろうか。
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技術的な見通しは、それなりに立っている。人や経済をどう動かすか、そこにもっと知恵を絞って欲しいと思う。
2009-09-17 (Thu)
☆ 慌てず急げ
・他の再生可能エネルギーへの拡大、2年以内に(ロイター)。11月からの新しい買取制度も予定通りに施行。…妥当な線かと(ほっ)。基本的に早い方が得になるとは思うけど、最低限の利害調整の時間も欲しい。
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ただし議論に際しては「○○があるから他はいらん」式の極論や、先送りはダメ。特に先送りはもうご勘弁…そんな余裕は残されてないと思う。
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あとデマとか誇大宣伝も勘弁。結局、国内じゃ誰も得しないだろうから。
正確な情報さえ集めれば、あとは純粋に国益を最大化できるように考えればいい。視点が経済だろうかエネルギーだろうが環境だろうが、目指すところは結局同じになるはず。
「そんなバカな」と思った人には、もっと勉強してくれとしか言いようがない。「対策をしない逃げ道」に見えるものはいくらでもあるだろうが、どれも袋小路だろう。
2009-09-20 (Sun)
☆ -25%
公式宣言するのかー。まぁ既に言ってしまったことだから、さっさとそうした方が得策か。途上国の参加などの条件もきっちりつけてるし。
それよか、高速無料化などの矛盾する策をなんとかした方がいいと思う。
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ちなみに現状比「-15%」も「-34%」も、実は達成時期にして数年の違いしか無い。対策技術の年間導入量の伸び率で考えると、「2020年に-15%」はたとえば「2023年頃に-25%」「2025年頃に-34%」と感覚的には同じぐらいの難しさになるだろう。
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…要するに、(時期はともかく)最初から「-25%」や「-34%」をやる覚悟を持って臨まないと、「-15%」だって無理だ。
そしてろくに削減できなければ、たぶんGMの二の舞になると思う。
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そもそも「経済が崩壊」とか主張してる人達がいるけどさ。20年で-26%達成して対策技術売りまくってるドイツと、逆に+9%になった上に排出権買いまくりの日本を比べてみりゃ、すでに結論は出てるように思うんだけど。
それなのに中期目標検討委の「技術のコスト低減を無視」とか「プラスの経済効果を過少評価」してるような不自然なシミュレーションを持ち出されても、まともな議論にならないと思う(つか、実際なってないし)。
「できねぇ」って言い訳は、やることやってからしか聞いてもらえないでしょ…つか企業経営者なら聞かないよね、普通。
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厳しいことばっか言って恐縮なんだけど、それが今の日本の状況だ、ってことをまず認識しないと話にならないと思う。
さすがに気付いた人も増えてきたみたいだけど、まず動いて!というのが率直な感想。問題が出てきたらその都度直せばいい、というか、直しながら進めていくしか無いでしょ。
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# おれが懐疑論を「現実逃避」と言う理由、わかった?
☆ 普及ペース
上記で毎年同じ「導入量」でなく、同じ「導入量の伸び率」を仮定しているのも経済的理由。
毎年同じ「導入量」では量産効果が得られず、コストがなかなか下がらない。
コストを減らしていくには、必要な規模に達するまで、毎年市場を拡大させていかないといけない。さもなければ国際競争に負け、経済的損失に繋がる。
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つまり温暖化対策を経済的に進めるには、加速度的なペースで普及するように仕向けなければならない。普及に伴って価格が下がることで、ペースがさらに加速するように仕向ける。「毎年一定の導入量」なんて甘い考えでは、不経済なはずだ。
2009-09-21 (Mon)
☆ ぼそっ
日本では「将来の電気代や排出権の値上がりに備えて太陽光発電を導入しておきたい」という動機がそれなりにあるように思う。
余剰電力買取はこの需要にマッチしてるんだが、一般的な全量買取だとこの効果がない。
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関係者の希望次第だけれど、産業用には全量買取と余剰電力買取の折衷案があるといいのかも知れない。形態としては色々考えられるけど、一部だけ自家消費分と相殺できるようにするなどの方法が考えられる。
2009-09-23 (Wed)
☆ ぼそっ
日本にとって目下最大の問題は、何よりも「排出量を減らせていない」こと。これに尽きる。
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公約が「90年比-25%」でも「05年比-15%+α」でも、実際にやる内容には殆ど違いは無いと思われる。
なぜなら日本は既に約束を破っていて、公約が信用されないから。
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日本はいま、「嘘つき」と見られている。その現実から、目をそらすな。
なぜならここで挽回しないかぎり、経済的により大きなペナルティが予想されるから。それどころか、国内産業の辛うじて残る強みさえ、失うことになりかねないから。
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俺の目には日本経済はほんとに崖っぷち…つか、もう既に身体が半分落ちかかっているように見える。努力しているつもりで、全然別の方向に歩いてきたから。
山を登るつもりで、麓を回っていただけというか(汗)
☆ んじゃどうする?
厳しいことばかり書いたので一応書いておくけど、解決策自体は単純だ。全力で排出量を減らす。それで鍛えた技術を、新たな商売ネタにする。
HV/EVとか電池とか再生可能エネルギーなどの新しい技術を全力で普及させて鍛えて、海外に売る。もちろん、鉄道とか原発などの成熟技術も売る。旧い商売だけにこだわらない。
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そんだけ。
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それでも大変なのは大変だけど。そこは道を間違えたツケなので、もうどうしようもない。腹、くくって下さい。
2009-09-25 (Fri)
☆ ぼそっ
現状の反対派
=排出量多い方々(の一部)
=国内で対策が進まなければ排出権を余計にたくさん購入する羽目になる方々
…のような気がするのですが、これは杞憂なのでしょうか。
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排出=負債。
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たしかに鳩山さんの発言は軽率と言えば軽率なんだけど、それ以上に問題なのは、日本の対策の遅さだと思います。
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シナリオの練り直しも、国の方はもう暫く前から動いてますよね。それが出てきて初めて、落としどころが見当つくはず。
2009-09-27 (Sun)
☆ めも
・カナダ・オンタリオ州が包括的なFITを導入(REW)
・欧米各社が太陽電池の変換効率の記録更新を発表(REW)…戦国時代。
・元祖フレキシブルCIGSモジュールのGlobalSolarも記録を更新(PV-tech)…先駆者の割にここの製品は変換効率がやたら低かったのだが、ここへきてようやく一般的な記録に追いついてきた模様。
・ドイツ太陽光発電メーカー団体、中国メーカーのダンピング提訴を検討中(環境メディア)…助成は自国産業を鍛えるためなので、他国製品が多くなりすぎればこのような措置も必要になり得る。しかし他国との競争はより早い価格低減を促す面もあるので、むやみに輸入を制限して甘やかしすぎてもいけない。サジ加減が重要なので、ドイツがどう対応するかは興味深いところ。
・インド・タタグループ、フレキシブルCIGS太陽電池に投資(REW)。2500万ユーロ。…やっぱり来やがった。パイロットラインが建てられる額やな。数年前に相手したときに「今から太陽電池の生産に参入するには相当の度胸が要りますよ」と念を押したんだが、動じる気配が全然無かったんだよな。太陽光の中でも今一番未開発の市場に目を付けるあたり、良く勉強もしているようだ。
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・「25%減」を宣言したことで国内の議論が活発化。経産相。削減が進まないと、セメント業界と鉄鋼業界にしわ寄せが行きやすい。
まだちゃんとシナリオ出てない段階で言うのは難だけど、たぶんこんな感じで対応することになるんじゃないかな:
_◇前置きその1:排出量削減技術の導入は、加速度的なペースが基本。毎年一定の導入量では、コストが下がりにくく不経済になる。
_◇前置きその2:「1990年比-25%」の目標は確かに厳しいだろうが、例えばこれを5年遅らせると、以前の「2005年比-15%」の目標とだいたい同じぐらいの難しさになる。実はその程度の差でしかないし、どのみち必要とされている目標でもある。そしてこの目標ですら、通過点でしかない。
_◇前置きその3:中国やインドなど他の国もそれなりに厳しい目標を導入して貰わなければ、日本は経済的に不利になる。かといって彼らも対策を進めねばならないので、日本の技術が欲しい。その交渉がこれから待っている。
_◆目標達成時期を多少遅らせて、その分は排出権などで埋め合わせる。もっとも、最初からこれをアテにするのは危険だし、少なくとも公式にはそんなことはおくびにも出さない方がいいだろう。
_◆その余計な排出権の分は、対策技術・製品の輸出で稼ぐしかない。また目標達成の時期も、可能な限り早くする。
_◆大口排出産業の負担が過大にならないように配慮する。その代わり、可能な対策技術の開発を全力でやって貰う(そうしなければ、どのみち生き残れないだろう)。
_◆旧来のエネルギーのコストや今後のリスクを精査して、削る。
ほかの関係者からも意見がいろいろ出てるけど、議論も拒否するような酷い意見はさすがに鳴りを潜めたね。
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これから中国やインドとのタフな交渉が待ってるので、国内で泥投げ合ってる場合じゃない。コペンハーゲンまで、あとちょっとしか無い。
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・九州電力のモンゴルの風力発電所、運転開始(環境メディア)…温暖化対策で既に負担をしているのが電力会社だ。排出量削減には分散型エネルギーの導入が必須だが、それは国内の発電ビジネスがその分減ることを意味する。これはある程度は避けがたい(気の毒だけど)。それを補うためには、分散型の技術を利用して何か新しい商売を始めるのが一番手っ取り早い。
・ガス各社、太陽熱温水器を共同開発(日経)
・G20、化石燃料への補助の段階的廃止で合意へ(環境メディア)。
☆ 削減費用
・削減費用の現時点でのシナリオに対する安井先生のツッコミ(日経)…現時点のシナリオは、どれも「できる限り妥当性を追求した」というにはほど遠い。
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俺からも例としてひとつだけ指摘しておくと、少なくともエネ研のモデルの太陽光発電の試算は、”現状の数十倍普及しても全く値下がりしない”想定で計算されている。これは開発途上の工業製品として、明らかに不自然な想定だろう。その一点だけで、20兆円ぐらい余計に見積もられていると思う。
そういう「価格低減無視」の想定は他のモデルにもあるので、どうもこの一連のシナリオの前提条件自体がおかしかったように見える。
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そんな調子なのに、これらのシナリオの数値を掲げて「ダメだダメだ」と声高に主張する方は、ブラフでやっているのだろうか、本気なのだろうか。
いや何かのブラフだとしても、却って自分の首絞めてるように見えるんですが。
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…たぶん「それなら何でもっと早く妥当なシナリオを作らなかったんだ」という意見が出るはずだけど、それは少なくとも現政権の責任じゃない。現政権のせいにする人がいたら、その人は意図を疑われても仕方がないと思う。
また仮にここで「妥当な」シナリオが既にあったとしても、それを今すぐ公開するのが国益に適うかどうか、正直俺にはわからん。
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ただひとつ言えるのは、諦めるにはあまりにも早すぎる、ということだ。
まず、なるべく正確な地図を買え。話はそれからだ。
2009-09-28 (Mon)
☆ 感覚
・家庭の負担額の算定も見直しへ(日経)
俺がわかる限りでは不自然に大きく見積もりすぎな部分があるので、見直しは必須と思う。
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そもそも限界削減費用の見積もりが他国に比べて一ケタ大きい時点でおかしいと思う(よね)。そこまで日本の省エネが突出して進んでるようには見えない…一部ではそうかも知れないが、国全体で見ると全然徹底していないからだ。本気で信じているとしたら、自己陶酔しすぎだろうと思う。
_
そもそも「他国よりも省エネが進んでいる」ことは日本製品の重要な強みであったわけで。それを理由に投資をサボることは、自らの強みを食いつぶす行為だ。行き詰まるのは自明だと思うのだが。
_
なにより、不正確な情報を頼っても不幸になるだけだ。
_
もちろん気付いてる人も多いのだけど、未だにわかってない人もおみかけする。なんか日本おかしいと思う。
☆ 徹底?
おれが見聞きした範囲にもいろいろヒントは転がっている。
・ドイツの風車と観光で栄える旧炭鉱町、なにげに公共交通や自転車を活用する配慮、日本より本格的・網羅的・長期的なプロモーションの一端
あとニュースからだとロンドンの交通政策とかアメリカの太陽光・風力の導入目標とか…自分で調べれ(ぉ
_
無視するのは簡単だけど、いずれも日本なら驚かれるような話ばかりだと思うんだな。取り組む姿勢や規模的に。
Written by "バカ殿"さくらぃ
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