壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2011-02-02 (Wed)

再生可能エネルギーの環境性能

議論用のメモ。論文調なのはご勘弁(文字数少なくて見やすいので)。

再生可能エネルギーの源は太陽、地熱、潮汐など。

いずれもあと十億年単位で利用可能で、人類にとっては事実上無限。_

もちろん再生可能エネルギーでも、「木を伐採してそのまま放置」ではいけないように、適切な利用方法・技術でなければ持続的に利用できない(再生可能と言えない)。しかし適切な条件を選んで利用すれば、

再生可能エネルギー源の性能に示したように、投入した以上のエネルギーが得られ、持続的な利用が可能になる。

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ここで(誰とは言わないが)”エントロピーというものは必ず増大していく一方で、エネルギーを取り出せばエントロピーも増大するから、持続的なエネルギー源なんてありえない”と主張される方々がいるようだ。

もちろん太陽の残り寿命とされる50億年後まで考えるなら、太陽エネルギーだって”持続的じゃない”。けれど、人類の種としての歴史はせいぜい数十万年だ。「太陽全体まで含めたエントロピー」や「太陽の残り寿命」を心配するには、文字通り十億年早い

そんな主張を持ち出して来てる時点で、その方々の判断能力(もしくは意図)を疑うべきだろう。

_

そしてそれを指摘すると、今度は原料精製がどうの、輸送がどうの、規模がどうの、と言い出す方がおられるようだ。

でもそんな要素は、前出のような資料ではとっくに考慮済みだ。

一例としては、下記に太陽光発電に関する報告書がある。(ちょっと登録作業が必要だが、無料で誰でも読める。)

NEDO 成果報告書データベース

No.20090000000073を探して、ダウンロード頂きたい。

これは第三者(みずほ情報総研)が、企業秘密や海外の報告例まで調べ上げてまとめた、ものすごい量の報告書だ。原料をどの国で採掘してどう精製するかから始まって、どうやって廃棄してどこまでリサイクルするか、エネルギー収支やCO2排出量等の環境負荷まで調べ上げている。読んで頂ければきっと、ここまで詳しく調べているのかと驚かれるだろう。

下記に解説付きで一部を抜粋しておいたので、よければご利用頂きたい。

EPTのFAQ

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もちろん、他の再生可能エネルギーでも同様の調査が多かれ少なかれ行われている。中には性能が悪すぎるものもあるが、適切な性能と条件下で利用すれば、やはり持続的になる。下記にそういう報告を多数まとめた「レビュー」の例を示す。この論文は誰でもアクセスできるようだ。ごめん、有料。

Renewable and Sustainable Energy Reviews, Volume 13, Issue 9, December 2009, Pages 2716-2721

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結論:科学ナメたらあかん。

廃棄やリサイクル

・太陽光発電については、その気になればとことんまでリサイクルできる。これもみずほ情報総研の報告書が詳しい。

NEDO 成果報告書データベース

報告書No.20090000000073です。

日本だと一般のリサイクルシステムによる金属のリサイクルが主体(各メーカー内ではもっと色々やってるかな)だけど、欧州では半導体まで含めて専用のリサイクルシステムで処理するようになっている。下記のPV CYCLEがそれ。

PV CYCLE

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他の再生可能エネルギーはあまりチェックしていないけど、金属やコンクリートは再資源化できる。再生が大変そうなのは風力発電のブレードみたいなプラスチック類かな。

といっても、それを作るためのプラスチックの量なんて、火力発電で燃やしてしまう石油の量に比べたら微々たるもののはず。そのプラスチックが再生できないから実用性がないとか言い出すのは、やっぱり本末転倒。

石井吉徳先生のご主張へのツッコミ

は、こちら。

石油ピーク論やもったいない精神はともかく、エネルギー源の性能評価では、ご主張が科学的な裏付けを欠いておられます。

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たぶん突き詰めていくと、「もったいない学会」の天野氏が出所。そして天野氏の主張はおそらく、想定時期や技術水準等の根拠が不自然か、不明確なはず。まともな国際的学会誌の論文も無いはず。

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加えて天野氏は熱と電力を同一として比較してたりするので、「なんで電力の方が価値が高いと言いながら、熱と同じとして計算するの」って聞いたら、たぶん困るんじゃないかな。屁理屈並べたりとか。

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技術的な話になるけど、熱と電力を同一視して計算してしまうと、たとえば「発電所の建設に実際には最終的にどれだけ化石燃料が使われたのか」が正確に比較できなくなるはずだ。(現状では)電力を火力発電で得るにはその数倍の熱エネルギー(もしくは燃料)が必要なのに、その分が反映されなくなるから。

また出力側でも、たとえば火力発電や原発の廃熱まで、発電電力と同一視してカウントする人がいるかも知れない。

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いずれにせよ、天野氏(や石井先生)のエネルギー源の性能に関するご主張は、何故他の多くの報告の値 とそんなに値が食い違うのか、科学的に広く認められたご説明が無いと思われます。

温暖化問題と解決法

まず懐疑論の掃除から。

・「この冬は寒いやん、温暖化なんてしていない!」な方は、[平均気温の変化のまとめ(気象庁)]と、[寒かったのは一部だけ]なのを見てから考えて下さい。一冬で決まるもんじゃないのよ。平均が上がってるから、困るの。

・「太陽活動のせいでしょ!」」とか「CO2のせいじゃないでしょ」な人は、[FAQ集]とか[専門家によるツッコミ]を読んでから考えて下さい。

・「水蒸気でしょ!」「陰謀でしょ!」とかいう人は、[これ] を読んで考えて下さい。

・「海面が59cm上がるだけでしょ?」な人は、[この日経の記事][Natureによるまとめ]を見てから言った方がいい。…とりあえず、度胸のある人にだけお勧めしておくけど…。

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んで解決法だけど、「一つの技術だけじゃ無理だけど、いまある科学技術を全部使えば解決可能」というのが、国際的な結論。IPCC AR4や、IEA ETPに書かれてる。IEAの図がわかりやすいので、載せとく。

(IEA, Energy Technology Perspective)

だいたい半分は省エネ、半分は低炭素なエネルギー源の開発。再生可能エネルギーも原発も高効率ガス火力もエコカーもCCSも全部つかう。それなりに大変だけど、走り出すのに十分な技術はもうある。

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だいたい温暖化がなくても、石油の値段はどんどん上がってるし、今後も上がる予想。

(EIAによるまとめと予測)

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そこで解決手段を非科学的な主張(もしくは極論、詭弁etc)を使って否定した上に、最終的に「やっぱ石油使え」というのは、変ですわな。

「できない」を言うのは難しい

・何かが「出来る」と断言するには、実例を一つ示せば済む。

・何かが「出来るだろう」と言うには、可能性を一つ以上示せば済む。たとえば、こんな風に

・しかし何かが「出来ない」と断言するのは、得てしてその10倍、100倍難しい。ありとあらゆる可能性を考慮した上で、「どの可能性も本当にダメなのかどうか」を確かめる必要があるからだ。

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また将来予測だとそもそも「100%」「0%」な断定は難しいので、「どのぐらいが一番ありそうか、良さそうか」という判断を迫られる。不確定要素については、いくつかシナリオを用意して予測を行うこともある。特にエネルギー供給や低炭素化については人の行動が深く関わるので、シナリオを用いた大規模な予測が必要な場合が多い。関係する要素も多く、それぞれの要素の今後の変化まで予測しないといけないので、求められる知識量も膨大だ。

大規模なシンクタンクが1年ぐらいかけて検討しないと分からないはずのことを、専門知識が明らかに不足している人がホイホイと「できない」なんて断言するのは、避けられた方が良い。


2011-02-09 (Wed)

有機薄膜太陽電池

ちょっと締め切りに追われてますので、簡単に。

うちの担当チームの解説。カラフル、フレキシブルにできる。

・効率は7%越えたところ

・室内でおもちゃ等に使えるものは出来ていて、アメリカのベンチャーのKonarka社が既に量産中。

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光電変換層が殆ど常温で形成できるので、製造が簡単。塗ったり、吹き付けたり、蒸着したり。一番簡単な奴だと、塗って乾かして適当に電極つけたら、とりあえず動く。しかもp型/n型の2層じゃなくて、pとnを混ぜた1層だけで動くものもあるという、おかしな太陽電池。

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屋外で使えるようになるまでには、まだ性能と耐久性が足りない。特に耐久性。

性能を上げるには、良い有機材料を創る(見つける)必要あり。研究者のカンに頼るところが。

耐久性は、酸素や水分を防ぐ封止の技術が重要。ガラス使えばそこそこ持つけど、フレキシブル・透明・安価な材料でバリア性がガラス並の材料とかできないかなー、それともなんか他の手段で保護できないかなー、ということで、化学屋さん・材料屋さんの世界。

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わりと新しい太陽電池で、研究が本格化したのはここ10年ぐらい。開発ペースがわりと速いので、ひょっとして10年ぐらいしたら、とりあえず屋外で使える奴が出来るんじゃね?と言われてる。難しさの度合いとしては有機ELと同じぐらいか(耐久性が厳しいが、電流密度は低い)?

いきなり既存の太陽電池を置き換えたりは出来なくても、カラフルさや軽さ、安さを活かした用途から使われるかも。

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とりいそぎ。


2011-02-18 (Fri)

CM

直前になりましたが、講演予告です。

宮古島(2/23)…高校生、教育関係者の方向けです。→地元テレビに紹介されました

那覇(2/24)…一般のご参加可能ですが、もう100名越えられたとのことですのでお早めに(^^;

お気軽にご参加下さい。

・あと2/26に脱温暖化センターひろしま様のフォーラムに出ます(こちらはクローズドみたいです、すみません)。

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なお来月からアメリカに修行に行くんで、このあと講演は暫くご無沙汰する予定です。;)


Written by "バカ殿"さくらぃ
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