2011-07-04 (Mon)
☆ 太陽光・風力が変動しても…
太陽光発電や風力発電の出力は変動する、そんな電気は買い取る気にならん、というご意見をおみかけしたので、解説。
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確かに、太陽光や風力はお天気任せの発電です。1つ1つの発電所でみると、ものすごく激しく変動します。
「うへー、ほんとにこんなん使えるんかよ」って思いますよね。
でも、ここでちょっと考えてみて下さい。
太陽光発電や風力発電って、1カ所にドカーンと大きい発電所があるだけ、という訳じゃありません。比較的出力の小さな発電所が、何千何万個も、広い範囲(たとえば半径100kmとか200kmとか)に分散して設置されます。
これ全部が、一斉に変動すると思いますか?
…しませんよね。場所がお互いに離れるにつれて、変動は同期しなくなります(相関性が低下する)。
実際、太陽光だと、こんな感じになります。
東電管内の20カ所ほどの出力を平均するだけで…。中央の赤線が平均です。
このように、だいぶ滑らかになります。
これでも天候による変動は残りますが、変化はだいぶゆっくりになります。これだけゆっくりになると、送電網側でも(それなりの量までは)対応することができます。
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国単位の実例。ドイツは既に日本の何倍もの太陽光発電や風力発電を導入しています(人口は2/3なのに…)。その発電状況が、この資料のグラフにあります。(2011.12.25 リンク更新)
黄色が太陽光による発電、薄い灰色が風力発電です。天候によって変動はしていますけど、これなら割と使えそうですよね?いや実際、使われてるんですけど。
変動しても、実用にはなるのです。
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今までとは発電所の配置や電力の流れ方が変わりますので、ある程度は送電網の改造も必要になります。太陽光や風力を増やして行くにつれて、変動への対策費(系統安定化費用)が増えていきます。しかしたとえば年間電力需要の1~3割程度までは、現実的な系統安定化費用で実用になると見られています。系統安定化については、こちらもご覧下さい。
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また、「それでも太陽光はコストが高いやんけ」という方は、ここに関連データをまとめてありますので、ご参照下さい。
決して万能じゃありませんけど、太陽光発電も使われた方が、結局は安上がりになるはずです(少なくとも、それが一番自然な予測です)。
☆ 補足
その一方、「じゃあ太陽光と風力だけで全部電力賄おうぜ!」というのも、無茶です(少なくとも、現時点では)。太陽光や風力の割合が増えるにつれて、送電網も改造しないといけません。また蓄電池も、ある程度使う必要が出てきます(系統安定化といいます)。導入量が増えるに従って、系統安定化のコストもだんだん増えていきますので、どこかで「もうこれ以上はいやん」というところが出てきます。
(系統安定化についてより詳しくは、こちらをご参照下さい。)
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今のところ、今後20年程度の期間では、太陽光や風力の割合を2~3割程度にする予定の例が良くみられます。
例えばアメリカでは、20年間で風力発電による発電の割合は20%にでき、系統安定化のコストを含めても、その方が化石燃料よりも安上がりになると見られています。
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いやスペインとか、もっとたくさん使ってますけどね。
あとドイツの場合、2050年には電力需要の9割以上を再生可能エネルギー(EE)にして(Table 1)、そのうち1/3以上を風力にするつもり(Abbildung 3.14)。直近10年の実績と今後20年間の計画は、こんな感じ。
(出典)
昔は5%以下だったのに、2010年は17%まで増やしています。年約45億ユーロ(2008年)を、各種再生可能エネルギーに助成しています。
そのかわり、助成額に匹敵する額の化石燃料コストを削減し(50億ユーロ、2008年)、助成額の数倍の経済効果(288億ユーロ、2008年)と、37万人(2010年)もの雇用を産みだしています。
少なくとも、これにケチつけてる暇があったら、学んだ方がお得だと思います。
☆ 苦言
ただし、再生可能エネルギー普及のためとはいっても、
・関係者同士が何年もかけて相談して決めたペースを、一人の人が勝手に変えてしまう
・特定の利害関係者だけが、不当に大きな利益を得る
ような事は、避けて欲しいし、避けなければいけない。
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全量買取も、本来ならば今のドイツよりずっと控えめな、無難な内容で始まってたはずなんですけどねぇ…。関連業界(それこそ化学・半導体・建築・鉄鋼・運輸等まで含めて)の方々も、準備されていたはずなんですが。どうしたもんやら(--;
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助成水準はなるべく抑えつつ、なるべく真面目に投資された方々だけが生き残れるようにしないとダメ。激しい国際競争にも、生き残れるように。
問題になるようなら、コスト(&投資)・発電量・信頼性(トラブル等)のデータを業者ごとに第三者機関が調べて公開するとか、そういう工夫をすると良いかも知れませんね。
☆ 全量買い取りについて
今国会に提出されている全量買い取りの法案では、太陽光への変更はオマケ程度です(少なくとも、震災前の予定では)。市場の大部分を占める家庭用の太陽光については、変更がないので(既にFIT導入済み…余剰電力買取は、アレンジしたFIT)。
一番のポイントは、風力・地熱・小水力・バイオマスなど、太陽光以外のエネルギーもFITに追加されることです。
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太陽光発電は助成のおかげで回復して、国内も輸出も増えてます。国内での関連産業規模も、1兆円ぐらいまで育ってきたと見られます。→(2011.9追記:2010年は1兆円を軽く超えました。)
この太陽光、確かに経済効果はありますし、ピーク時の需給緩和にも役立ちます。しかし発電量を稼ぐには向きませんし、コストも高めです。量を稼ぎ、全体のコストを抑えるには、他の自然エネルギーの活用が欠かせません。
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しかし今、太陽光以外の自然エネルギー(風力・地熱・小水力・バイオマス等)は、酷い状態に置かれています。本当ならば昨年(2010年)から開始予定だったのですが、関係者間の調整に時間がかかり、今年春からスタートの予定でした。それが今、さらに遅れてしまっています。
普及に真面目に取り組んでおられる現場の方々にとって、1年以上もの遅れはめちゃくちゃ深刻なはずです(太陽光でも、昔そういう時期がありましたが…)。
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それでなくても、日本における再生可能エネルギーの利用は遅れています。そろそろ、イギリスにすら抜かれそうです。
(出典(P.15))
このままでは、(ただでさえ自給率が低いのに)世界に取り残され、安全保障・経済・環境のいずれの面でも、不利になってしまいます。
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そんな日本をよそに、世界では再生可能エネルギーの導入が進んでいます。風力発電など、既に約200GW(定格にして原発200基分)に達しています。発電量にして世界の2.5%ぐらい(つまり世界の家庭の電力は、既に40軒に1軒の割合で風力が賄っている計算)、今後も伸びると見られています。太陽光発電も、風力発電を数年遅れで追いかけるように伸びています。
(出典:GWEC(P.10))
(出典: EPIA, Global Market Outlook for Photovoltaics until 2015)
このように世界が導入を進める理由は、結局の所、化石燃料のコストが増えているからです。しかも新興国におけるエネルギー需要増加等を背景に、今後もさらに高くなりそうなのです。殆どを輸入に頼る日本にとって、これは深刻な問題になっています。
(出典)
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これに対して、再生可能エネルギーは、基本的に安くなる傾向です。
そして最も高い太陽光発電ですら、今後数年程度のうちに、化石燃料よりも安くなる国が出てくると見られます(既に一部ではそうなっている)。
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このため、これ以上化石燃料が高くならないうちに、再生可能エネルギーの導入を進めようとしているのです。
(解説資料)
導入する段階ではお金がかかりますが、一度普及してしまえば、あとは化石燃料の値段に左右されないエネルギーを自給できます。結局は、こちらのほうが安上がりになると見られます。少なくとも、それが一番自然な予測と言えます。
しかも燃やしたらそれっきりの化石燃料とは違って、リサイクルもできます。そこまで考慮すると、再生可能エネルギーの方が、長期的には必ず化石燃料より安く上がります(リサイクルできる分、追加で輸入しなくて良いので)。
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全く余計なお金も手間もかけずに再生可能エネルギーを増やせるなら、それに越したことはありません。でも、世の中そんなに甘くありません。どのみち何らかの形で出費は必要で、エネルギーの供給構造や産業構造も、変わって行かざるをえません。
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発電所等は数十年使われますので、エネルギー供給構造の変化も数十年かけて行われます。また「省エネだけ」「原発だけ」「再生可能エネルギーだけ」等ではいずれも足りず、今使えるあらゆる技術を活用していくことが求められています。
(出典:IEA, Energy Technology Perspectives)
これに伴って、売る物を変えたり、転職したり、という負担も発生します。でも、そのような負担を乗り越えて、全体ではそれ以上の利益を得ることは可能です。
上で紹介したドイツが、その実例です。そして日本でも、同様のことは可能だと見られています。(解説資料)
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確かに、リスクはあります。お金もかかるし、手間もかかります。
それを乗り越えて挑んで、先人達のようにがむしゃらに未来を切り拓くのか。それともこのままウジウジと動かず、ジリ貧になった末、化石燃料コストの高騰で行き詰まるのか。どちらを選ばれるかは、自明では無いでしょうか。
☆ 日本での普及費用と便益
日本の条件において、各種再生可能エネルギーを普及させた場合の費用や便益については、環境省が数年前から試算しています。現時点ではこのH22年度のものが最新です。
(同じく環境省のポテンシャル調査もここ数年毎年行われています。こちらも必見。)
(「脱原発」じゃないですよ。というかそもそも、「再生可能エネルギー普及=脱原発」じゃないです。そういうステレオタイプな極論はやめれ。)
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アホみたいに量が多い資料なんで、ポイントとなる数字だけ抜き出しますと:
・2030年までに日本のCO2排出削減量11~12%分の 再生可能エネルギー設備を導入と仮定(風力・バイオマス・小水力・太陽光・地熱…)
・2030年までの累計買取総額(電力+熱):16~29兆円 標準的世帯で平均約280~500円/月
・系統安定化費用(2020年までの累計):1.1~4.5兆円
・経済効果:
→粗付加価値額(直接効果除く): 2020年までの累計:25~34兆円 2030年までの累計:46~60兆円
→雇用創出:46~72万人
・2030年に電力の約4分の1 を再生可能エネで供給(+2000億kWh)
・エネルギー自給率:5%→17~19%に
・年間約1.4~1.6億トンのCO2排出削減(1.4~6.3兆円/年相当)、京都議定書基準年比約11~12%に相当
こちらの解説スライドの24ページにもまとめてあります。
確かに大きな費用はかかりますし、相応にリスクもあります。しかし日本の条件でも、ドイツ同様に、かけた費用以上の経済効果、安全保障の効果が期待でき、太陽光や風力の出力変動への対策コストも賄うことが可能と見られています。
☆ その他、補足資料
・IEAによる、2015年時点での陸上風力発電と既存電源のコスト比較予測。
出典:IEA Projected Costs of Generating Electricity 2010 (要約)(書籍(有料))
風力はガスや石炭など、既存火力と同等になると見られてます。(またここで比較に使われている原発のコストも、一部の燃料処理費や立地助成金などが含まれていない値です。)
そこで「風力が変動するから」という別の理由を持ち出される方は、上述のドイツでの実績をご覧下さい。またドイツが既に再生エネルギーで電力の約17%(FITを始める前は5%未満だった)を賄っていることも、念頭に置いておいて損は無いでしょう(プレスリリース)。
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・系統安定化コスト
太陽光や風力のような変動電源の割合が増えてきた場合については、環境省が包括的に調べています。たとえばこの資料の6章に、各種試算を踏まえた簡単な(それでも長文だが)まとめがあります。積極的なペースで太陽光や風力を導入しても、2020年までの累計コストは現在価値にして1.1~4.5兆円(年平均1100億円~4500億円)で、系統への投資額としては普通のオーダー(日本全体だと年数兆円単位で投資している)。実用性が無くなるような額ではありません。
実際、先行するヨーロッパ各国における解析例では、電力需要の20%程度までなら、風力の系統安定化コストは0.5円/kWh以下と見られています。
(出典(有料))
そこですぐに「欧州では他の国に頼れるから」と言い出す向きには、代表例のドイツの輸出入量が数%オーダーで日本の水力程度しかないこと、そしてドイツには(調整力に富んだ)ダム式水力が殆ど無いことを指摘しておきます(出典:IEA Electricity Information(有料))。日本の方が有利な点もあるので、そのような一面的な議論は避けるべきです。そしてそのドイツは、既に日本の10倍以上の風力発電を導入しています(P.17)。技術を自慢する日本が、桁違いに小さな値で泣き言を言って良いと思われますでしょうか。
☆ 助成の際の価格変化について
助成を始めると、一時的に価格は上がります。需要が増えるからです。ではその「高くなった分のお金」はどこにいくのでしょう?
(解説資料)
需要が増えれば当然、工場も増やさないといけないし、発電所を施工する人や運転する人も増やさないといけない。そういう投資は、どのみち必ず必要になります。そのお金を出す覚悟がなければ、化石燃料コストの回避はできません。そういう所にお金が使われるように、助成制度を運用する必要があります。
(解説資料)
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助成することで、量産や技術水準の向上が進みます。
積極的に助成した場合とそうでない場合の差は、下記のような実例でわかります。助成した方が、最初は高くなっても、結局安くなっています。安くなるに従って導入量が増えて、結局は助成した方がより安い単価で導入が進んでいます。
(解説資料)
このような実績を見る限り、助成当初のコスト高だけを批判するのは、近視眼的と言われても仕方がないでしょう。
☆ 助成で問われること
FIT(というか助成全般)に対する批判は、たいてい助成初期のコスト増加を理由にしています。既存産業への影響を考えると、ある程度までは合理性はあります。でも、助成の利点を全否定する理由にはならない。当初はコストが高くても、いずれかの時点で普及させた方がコスト節約になり、その後それがずっと継続すると見込まれるから。(貴方が原発に理解のある方なら、普及当初の原発に対するサポートを考えてみられると良いでしょう。)
IEAも当初は一部の化石燃料や原子力の専門家が批判的だったけど、2008年以降、組織全体としてFIT推奨に転じています。引き続き2010年のEnergy Technology Perspectiveでも、同様に推奨しています。
実際、FITは少なくとも世界50カ国+25地域で採用され、現在世界で最も一般的な助成手法になっています(P.37)。
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そして再生可能エネルギーはいま、世界で新規に建設される発電所の約1/3を占めるまでになっています(発電量で29%、容量で36%)。
(解説資料)(データ出典:Bloomberg,UNEP SEFI,REN21(要登録))
あなたが何か発電に関連する業界で働いておられるとして、この変化を無視しようと思われるでしょうか?それとも、商売に活かして行こうと思われるでしょうか。
☆ 匿名の限界
匿名で議論する場合、基本的に下記のような点に留意が必要です。
・その人の主観的意見は、殆ど信頼性が検証できない。
・意見を論破された場合に、意見を変える覚悟が見えない。論破された意見を、どこか別の場所で、別の名前で繰り返せてしまう。
・酷い悪口を言っても、社会的に責任を取る覚悟が見えない。(=口では威勢が良くても、屁っぴり腰。)
・匿名の意見が参考になり得るのは、論拠が信頼性の検証出来る出典と共に示されている時だけ。例えば動向レビュー、コスト予測等々。
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基本的に、匿名さんの主観は議論の邪魔です。まして、悪口や陰謀論など。
Written by "バカ殿"さくらぃ
[利用上の注意]
某トピでの遣り取りを見ていてお邪魔しました。<br>再生可能エネルギー熱心に推進しておられるようですが、私楽観していません。ていうより、再生可能エネルギーでは、せいぜい30%まででしょうね。問題は残りの70%をどうするかです。原発でやりますか。実は、それが隠れ原発派の再生エネルギー活用論でもあります。<br>私は、原発直ちに廃棄派です。代替えは、燃料電池です。勿論燃料は化石燃料です。でも心配は要りません。燃料はほぼ無限に確保できて、然も低公害です。それには様々な仕掛けが必要ですが、それはさておいて、如何ですか、燃料電池。<br>先ず、3kwを1000万台、つまり3000万KW。家庭用です。企業向けには、数百から、数千キロワット。地方都市向けに、数万キロワットの地産地消発電所。東京湾岸にも、100万kwの静止型発電所。燃料は当面天然ガスでいきましょう。次は石炭ガスです。その先はバイオガスですがそれには少し説明が必要です。<br> 勿論、私も、発電に関わる業界で働いています。ご意見をお聞かせ下さい。
化石燃料は当面使わざるを得ませんが、下記のようなリスクがあります。「無限」に頼れる状況とは思えません。<br>・石炭は値上がり、および将来の排出権やCCSコストのリスクを抱える。将来的に予想される設備費や運転費が高い(IEA ETP2010)。<br>・シェールガスは少なくとも現状では温暖化係数の高いメタン漏洩が多く、報告されている値では石炭以上に温暖化を促進してしまう。何らかの対策が確立されないかぎり、石炭以上に排出権費用のリスクを抱える。<br>http://theenergycollective.com/david-lewis/48209/epa-confirms-high-natural-gas-leakage-rates<br>・シェールガスも資源が中東・ロシアに偏在しており、地政学的リスクを抱える。<br>・燃料電池の技術自体は有望と考えています。が、大型で熱利用が難しい規模になると普通のガス火力の方が有利では無いでしょうか。
なお恐れ入りますが、これ以上の議論をご希望の際は、私に公的身分を明かして頂けますようお願いします。<br>http://ks.nwr.jp/d/oyakusoku.html
実名で恥をかく勇気の無い方に、付き合う義理はありませんよ。
貴方は議論を尽くされないうちから、 <br>・「無限」等の極論を持ち出す <br>・主観的意見で締めくくろうとする <br>・「隠れ」「小心」「コンプレックス」等、悪口や陰謀論で他者を攻撃する <br>等の行為を行っておられます。 <br><br>いずれも、匿名の腰抜けさんには行う資格がありません。 <br>また例え正体を明かされていても、無闇に行うのは避けるべきと存じます。 <br><br># 私はここで、意図的に「腰抜け」とお呼びしました。でも現状の貴方では、それに反論される資格がありません。<br># 匿名ならその限界をわきまえて、主観を排した書き込みに限定下さい。
しかしこれで気付いたけど、燃料電池って他国ではFITの対象になってる例が複数ある(コジェネの一種として)けど、日本では補助金だけなのかな。メーカーさんは、どう考えてるんだろう。
>しかしこれで気付いたけど、燃料電池って他国ではFITの対象になってる例が複数ある(コジェネの一種として)けど、日本では補助金だけなのかな。メーカーさんは、どう考えてるんだろう。 <br><br><br> これは,良いところにお気づきになりましたね。<br> 実は、燃料電池こそ,次世代電源の本命なのです。だってそうでしょう。家庭の軒下に、最新鋭の火力発電所より高効率の発電所が収まってしまうのですよ。然も、その廃熱を利用すれば、総合効率が70%にもなってしまう。然も、燃料は、火力発電所で使うのと全く同じ天然ガスです。その天然ガスインフラは、都市部では既に、各戸供給システムが完成しているし、地方でも,LPGのボンベ供給網が完成している。エネルギー効率が,2倍になるとすれば、極論すれば、既存のガス供給網の供給量を増やすことなく、電力と熱エネルギーが供給できてしまうことを意味します。<br> これは,電力会社にとって致命的です。電力供給がガス供給に取って代わられてしまう。<br> それに対抗するために、電力会社は、オール電化という作戦に出ました。つまりガスの排除です。<br> 更に、太陽光以外の発電機の系統への連携を、系統の安定性や,安全性を理由に厳しく制限を付けて,差別的に扱っています。私が先に提案した、太陽光パネルと,燃料電池を併設して、供給しようとしたところ,電力会社から、太陽光で発電したか,燃料電池で発電した格別がつかないからという理由で、買い取りを拒否された事例を知っています。<br> つまり燃料電池は、電力会社にとって目の敵であり、それに関わる企業も、研究者も、監視して,警戒する最大の標的なのです。<br> だから此の国では、FITの対象にもならないし,重電で食ってる電機メーカーも、消極的だし,何より、経産省が全く熱意を示さないのです。<br> どうぞ、実名で,燃料電池を宣伝して下さい。<br> 電力マフィアに潰されること請け合いです。<br> 東京ガスのエネファームは0.75KWしか認められていません。電力の抵抗があるからです。<br> もう一度書きますが、太陽光発電は絶対に自立電源になり得ないから、電力会社は,安心して容認できるのです。燃料電池はそうはいきませんね。何しろ、決定的に電力会社の市場を奪ってしまうのですから。
そのへん、私も技術的に勿体ないと思っています。<br>ただ、政治的な力はマジ持ってないです (^^;<br>そこはやっぱり、「燃料電池の普及はこれだけお金と時間かかるけど、将来的には国にとってこんだけメリットが期待できますよ~」っていうコミットメントが、関連業界から必要じゃないかと。<br>私もコスト的な見通しがよく分からなくて、なかなか応援しづらいです。確かクールアース構想のロードマップに設備コストの目標はあったのですが、発電コストがよく分からず…。
あと個人的には新興国市場などを見据えた場合、むしろ電力会社さんとガス会社さんに組んで頂いた方が有利じゃないかと感じてるんですが…(何をアホいうとるんやと怒られそう)。
もうひとつ、割と急ぐかも知れない懸念事項が。<br>スマートメーターに「これは確かにオレが発電した分だ」って伝える仕掛けが、太陽光や燃料電池や風力に必要になってくるかと。
>私もコスト的な見通しがよく分からなくて、なかなか応援しづらいです。確かクールアース構想のロードマップに設備コストの目標はあったのですが、発電コストがよく分からず…。 <br><br> そう,コストの問題ですね。<br> 最近のニュース報道に依れば、700wの燃料電池を270万円で売り出したそうです。国の補助がどのくらいになるか定かではありませんが、それにしても、その販売計画は、全国規模で、1000台とか、5000台とかの話です。<br> 詳細は,報道を当たって下さい。<br> で、問題はコストです。1000台で270万なら、1000万台にすれば,十分の一になること請負ですね。つまり、kw、30万なら、全く、最新鋭の火力発電所に遜色なく、分散電源の設置かが可能です。<br> どうですか。1000台270万が1000万台27万になる可能性を信じませんか。つまりそれで、大電力会社が知恵の限りを尽くしてする大規模発電と同等の効率を持つ発電システムを、普通の市民の普通の家庭の軒下に設置できるのですよ。<br>そうなれば、電力会社など要りませんね。
いや、設備価格の見通しはロードマップでわかるんですよ。<br>問題は実際の運用コストなんです。そこが分からないと、普及したときの定量的なメリットが言えない。<br>高効率などの特徴を定性的に言えても、最終的なメリットも定量的に言えないと、その分応援しにくくなるっす。
>問題は実際の運用コストなんです。<br><br>都市ガスのm3当たり価格は,140円、cif価格では60円くらいです。<br> 1m3の発熱量は、11.6KW、この50%の発電効率と考えれば、5.6KW。発電単価は、家庭用ベースでは、25円、<br> 家庭用では、更に、30%の熱回収が可能と考えると、42円相当です。<br><br> 事業用では、燃料電池+代替フロンタービン発電機のコンバインドサイクルを考えましょう。<br> 代替フロンタービン発電機が良い理由は,燃料電池音はガス中には酸素が含まれず、温度が900℃と比較的低いことから、燃料を追加して追い炊きするスチームタービン形がうまくいかないからです。で、効率を,燃料電池50%、フロンタービン、30%とすると、総合効率で80%、つまり、天然ガス1m3当たりの発電量は9.28KW、発電単価はガス単価を60円/立米として、6.47円/KW、と言うことになります。<br> つまり、原発に匹敵するコストが実現可能ですね。<br> これをガス会社がやってしまうと,電力会社の出番が無くなってしまう。たいへんだ。
大型だともっとコストが削減できると。<br>寿命やメンテナンスコストの見通しは、どうでしょう。そこが、公開されている資料だと足りなくて。<br><br>よろしければ、参考資料も同時に挙げて頂けると助かります。1コメントに1つならURLが入れられます(2つ以上だとフィルタにはねられちゃいます)。
取り敢えず。<br> http://www.ntt-fsoken.co.jp/research/pdf/2008_arak.pdf<br><br> こんなところは見てみましたか。
ありがとうございます。<br>初歩的な質問で恐縮なのですが、ロードマップに記されている「耐久性」の期間内のメンテナンスコストは、無視できる程度と考えてよろしいのでしょうか?
構造は簡単です。電池スタックと、改質器と,パワーコンディショナーだけですね。改質器に技術的問題はありません。パワーコンディショナーも,太陽光発電と同じです。問題は電池スタックですが、最終6万時間程度を目指しているようです。つまり、6万時間ですっかり取り替えて新しくするとすれば、7年弱で更新と言うことになります。それがランニングコストですね。それと,量産効果によるスタックの価格低下によって負担の大きさは変わってきますから、普及の程度に応じて、KW300万から,30万円のカーブの中で変化してくるでしょう。7年で300万は大変だが、30万ならOKというところです。 もう一つの問題は、電極や電解質の材料にレアメタルが必要で後言うネックもあります。<br> これも,100%リサイクルで資源を温存していけば、決して克服できない問題ではありませんね。EVと同じ事です。<br> いずれにしても,技術的のはほぼ完成点に近づいています。問題は,量産効果をもたらすまでの道筋をどう付けるかでしょう。
ありがとうございます。電池スタックの交換が一区切りになるのですね。寿命向上に期待しております。それと、白金使用の抑制ですね。<br><br>例えばですが、今後のガス価格等のシナリオを適宜仮定した上で、家庭や大規模設備において20年程度利用した場合のシミュレーションを示されると良いのではないでしょうか。<br>”今後こういう所に、これだけ力を入れてもらえば、これだけ良いことが期待できます”、という業界からのコミットがあると有効ではないかと思いました。
コスト等検証委員会の資料に、2030年時点では実質12円/kWh弱まで発電コストが安くなりそう、との見通しが載りましたね。いいっすね。