壊れたら直そう日記


さくらぃ(櫻井啓一郎)の私的な日記です。なお、最近はもっぱら[ついったー] を使っています。一覧はこちら(twilog)
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2012-11-06 (Tue)

産経記事へのツッコミ

SankeiBizが、原発停止に伴う影響を取りあげた連載をされています。様々な企業を精力的に取材されたようで、参考になる情報も多く含まれていると思います。

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その一方で再生可能エネルギーに関し、不正確な情報や誤解を招く表現が幾つも含まれています。例えば、下記の様なものです。

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・ドイツにおいて、再生可能エネルギーの普及費用だけで電力価格が倍になったと読める表現

_ → 再エネの普及費用分(EEG)が電力料金に占める割合は2割程度です(18ページ)。残りは、化石燃料の値上がり等の影響です。(2012.11.11 表現ミス修正)

_ → しかも最近のドイツの産業用電力は、フランスより安くなってます

・ドイツがフランスから電力を「大量購入」と批判

_ → 実際は電力需要の数%程度です(IEA Electricity Information 2012より、2010年分)。

・買取制度で「庶民は損するばかり」と主張

_ →屋根貸しや低利融資、市民発電所等、資金の有無や多寡に応じて参加可能です。

_ →短期的な電気料金でみれば負担でも、それによって有用なコストまで安くできることが他国で実証されている以上、そう決めつけられるのは不適切です。

・「外貨流出を後押しするのに等しい」と主張

_ →太陽光発電のコストに占めるパネル自体の製造費は、今や2割程度に過ぎません。たとえパネルを全て輸入することになったとしても、化石燃料を毎年輸入して燃やすより、外貨流出が少なく済むはずです。

・「太陽光パネルの顧客の関心事は耐久性やデザインではない」と主張

_ →そういう方もおられるかも知れませんが、それでは事業リスクが高くなり、融資が得にくいものと推察されます(11/8の太陽エネルギー学会でも、私共がシミュレーション例を発表します)。

_ →またそのような設備が増えているならば、批判されるべきは安い製品の流入ではなく、信頼性(耐久性含む)の確保が十分為されていない点です。それは価格が低減する過程では必然的に起き得ることです。特定の普及促進形態を批判される論拠には、なっていません(そこで為すべきは、品質確保の要求でしょう)。

・関連産業が「盛況」「活況」と伝えながら、「国内の企業が育たないのならば」と批判

_ → 遺憾ながら、何か矛盾しておられませんでしょうか

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原発停止に伴う影響については、私は特に異論ありません。しかしそこで他のエネルギーに関して、デマや誤解を招く表現を流布される必要は無いはずです。遺憾ながら、何か事実に反する記述や詭弁が紛れ込んでいるご主張でも、お読みになられたのではないかと推察いたします。

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重視されている経済、特に貿易収支に与える影響について、再生可能エネルギーは本来、原発同様の利点を有します。同様の利点を得られることが実証されているものを、片方だけ、しかも(他国で実証されている)中長期かつ国全体での利益を考慮されずに攻撃されているのは、非合理的です。

そのようなご行動は、原発の再稼働を求められるご主張の信頼性まで弱めてしまっていると思いますが、如何でしょうか。

本質的課題

さらに厳しいことを言います。

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上記の産経記事は、現場の大変さを伝えています。でもそれを招いた原因は、再生可能エネルギーの普及促進でしょうか

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違いますよね

下記のような理由です。

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・原発を突然止めて、代わりに化石燃料を大量に輸入した。

・さらに化石燃料以外の選択肢が殆どなく、足下を見られた。

原発が停まる前から、日本の化石エネルギー輸入費はうなぎ登りだった。(12頁)

・原発が停まる前から、日本は国際的にみて電気代が高かった。

・原発が停まる前から、中韓台等の新興国の攻勢が激しくなり、日本の産業は競争力が低下していた。

・原発が停まる前から、日本の経済は停滞し、「リーマンショック」からの回復も遅れていた。

・原発が停まる前から、少子高齢化で国内市場に期待しにくい状況だった。

・原発が停まる前から、エネルギー・環境全般について不正確な情報、非合理的な主張も流布されていた。

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ここで再生可能エネルギーを非合理的な理由で攻撃することが、上記のような問題を解消する役に立つと思われますか?

むしろ逆のことを為さっているとは、思われませんでしょうか。

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記事を書かれた、石橋文登様、小路克明様、田中一世様、大森貴弘様。この批判に対してご質問やご意見がございましたら、こちらの「連絡先」に記したいずれかの方法で、ご連絡頂ければ幸いです。お待ちしております。

ぼそっ

情に訴えて論理的に非合理的な主張を通そうとされるならば、結局はご自身の信頼だけでなく、国益をも損なうものと存じます。


Written by "バカ殿"さくらぃ
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